第21話 いざ国王のもとへ
「お待ちしておりました。賢者様、エルルア様、ルゥ様。」
放課後、私たちは王宮に来ていた。
元々は私とエンディだけで来る予定だったのだけど、迷惑をかけたお詫びとしてお城までの同行は許してもらえた。
「お出迎えありがとうね。パレスティア王も早いに越したことはないだろうし、早速本題に入ろう。」
「申し訳ございません。実はまだ国王陛下のお準備が終わっておりませんので、今しばらく客間にてお待ちいただきます。」
(呼びつけておいて未だに準備が終わってないって・・・。)
エンディも呆れた様子を隠そうともせずに
「分かったから案内してもらっていい?」
と言うと、出迎えてくれたメイドが客間に連れて行ってくれた。
客間に入ってしばらくするとメイドの人がお茶とお茶菓子を持ってきてくれたんだけど・・・。
「・・・お昼ぶりだね、人探しのメイドさん・・・。」
「はい、お昼ぶりでございます、皆様。」
持ってきてくれたのは昨晩私たちを探していて、昼に国王の伝言を伝えに来てくれたあの使いの人だった。
「まさか王宮仕えのメイドさんなんて少なくないはずなのに、二日間で三回も同じメイドさんに出会うとは思っていないよね・・・。」
「わたくしも、まさか昨晩お話を聞かせていただいた方が、同じ学院の方どころかお探ししているご本人様だなんて思いもよりませんでした。」
プロだから表情に出さないようにはしているけど、雰囲気で怒りの感情が伝わってくる気がする・・・。
感情的に怒られるなんてなんか新鮮。
「いや、私としてもちょっと色々あって神経質になっていたから・・・。ごめんね?」
「いえ、私に謝っていただく権利はございませんので、何卒お気になさらず。」
「それなら、相手に悟られないようにするべきなのではないですか?」
私の謝罪に返答したメイドさんに対してルゥが噛みついた。
それはブーメランだよ、ルゥ。
「申し訳ございません。隠したつもりでしたが、私の修練不足です。」
「気にする必要はないよ。うちの従者もよく感情隠しきれてないから。」
隣にいるルゥから抗議の視線を感じる。
そういうところだよ。
「そう言っていただけて非常にありがたいのですが、修練が足りていないのは事実ですので、気にしないわけには参りません。」
「そうは言っても国王の下で働いていられるのなら十分だと思うけどね。」
「いえ、万が一にも下手を見せるわけには参りませんから。」
「真面目だねぇ。」
真面目な姿勢に感心しているとルゥからの抗議の視線が強くなった気がする・・・。
(ルゥも真面目ではあるんだけどなぁ・・・。)
どうしても普段の暴走が頭に浮かんでしまって、ルゥを真面目な子として見れなかった。
ルゥからの抗議の視線に気づかないふりをしていると、客間のドアがノックされた。
「お待たせいたしました。国王陛下の準備が整いました。」
「それじゃあ行こうか、エルル。」
外からの声に反応し、私とエンディは立ち上がった。
「んじゃあ、行ってくるね、ルゥ。」
「はい、いってらっしゃいませ、エルルさん。」
そして、私とエンディは迎えに来たメイドさんに連れられ、国王の待つ玉座の間に向かった。
胸の奥に何とも言えぬ胸騒ぎを残したまま。
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