第7話 未開惑星へ

 ふんわりにゃんことぺたにゃんこは、ゴールドフード探索のために未開惑星に行くことになり、更衣室でパワードスーツを着込んでいた。


 ふんわりにゃんこは、スタイルの良い体がスーツ越しにもはっきりとわかる。彼女は天然で自分の体型が優れていることに気づいていない。ぺたにゃんこはそのことに対してコンプレックスを感じていた。


「わぁ、ぺたにゃんこちゃんもスーツ似合ってるね!すごく可愛いよ!」


「・・・可愛いって言うのはやめてください」


「え? でも本当に可愛いんだもん。小さくてキュートだし!」


「小さい・・・って、まな板みたいだ・・・、ってことですか?!」


 ぺたにゃんこは顔を赤くしながら声を荒げた。彼女は「小さい」や「可愛い」といった言葉に過剰に反応し、怒りやすい性格だった。この天然バカは何度わたしを怒らせれば気が済むのだろうか。もげてしまえと思った。


「まな板? そんなこと言ってないよぉ・・・。ただ、ぺたにゃんこちゃんはとっても素敵だと思うだけだよ!」


 ふんわりにゃんこは、あくまで無邪気に答えたが、ぺたにゃんこはそれでも納得できなかった。


「もう、いいです。どうして私がこんな雑用をしなければならないんですか。あなたは一応、メイド騎士団隊長なのですよね、こんな任務・・・全く理解できません」


「うん、そうだったね、わたし、隊長だもんね。でも、私たちが行くことでゴールドフードを取り戻せるかもしれないから、戦争もなくなるし頑張ろうね!」


 その時、ドアの外で「とりもどせる?」という小さな声が聞こえたが、ふんわりにゃんこは気づかなかった。


「理解できました。それでわたしもついていくことに、・・・ペーパドライバーのあなたが運転するのでは不安しかないですよ。宇宙船の損失はあなたより重要ですから、私がドライバーとしてついて行くのは当然です」


「そうだよね、宇宙船は大事だよね」


 ふんわりにゃんこは笑顔で頷いた。皮肉が全く通用しない天然だった。彼女は宇宙船の運転がまったくできず、ペーパドライバー歴5年だったため、ぺたにゃんこがドライバーとして同行することになった。もし彼女が運転すれば未開惑星に不時着して大破は免れないだろう。あらやだぁ、大損失なんですけど~!


「それにしても、どうして私達が・・・こんな簡単な仕事を押し付けられるのか。理由がわかりません」


「ドン引きにゃんこ様が、スキルを使用して、こんな99%成功の任務にあんたみたいな変態で大丈夫だから、貴重な人材を割くのがもったいないって、さっさと原料のサンプル、レシピかその料理人? を捕まえてきなさいだって、酷いよね、わたしのこと変態だっていうんだよぉ、うーん、このスーツきついな、もっと大きいサイズはないのかな、特に胸のあたりが」


「もげてしまえ」


 ぺたにゃんこはブチ切れそうになったが、深呼吸して自分を落ち着かせた。


「ぺたにゃんこちゃん何か言った?」


「気のせいです。フォーチュンゲージを使われたのですか、その確率ならこの任務は成功するでしょう」


 二人はパワードスーツを着込み、ヘルムをかぶって更衣室を出る準備を整えた。ふんわりにゃんこはスーツ越しでもスタイルの良さが際立ち、ぺたにゃんこはスーツ越しでもわかる、あそこがぺったんこなのだ。そう、あそこがぺっんこなのだ。大切だから二度いう。


「ゴールドフードを見つけて、姫にゃんこ様を喜ばせようね!」


 ぺたにゃんこが扉を開けて外に出ようとした。


「・・・そうですね。早く終わらせて帰りたいです。先に出ますね。ひめ、グフッ・・・」


「待ってよぉ、ぺたにゃんこちゃん。未開惑星かぁ。どんなところだろうね? あれ? 鍵がない、どこだったかな? あっ、ロッカーだ」ふんわりにゃんこは自分のロッカーへ戻り、入れている鞄を探している。


「あった、あった、よし、よし、これで大丈夫だね!」ふんわりにゃんこは満足げに言いながら、更衣室を出てから鍵をかけた。外には、すでにぺたにゃんこが待っていた。


 ニャンコ帝国小型宇宙船の中では、ふんわりにゃんこが操作パネルの前で無邪気に周りを見回していた。ぺたにゃんこは、隣で黙って座っていた。


「ぺたにゃんこちゃん、宇宙船ってすごいねぇ!」


「・・・・・・」


「ぺたにゃんこちゃん?」


「・・・・・・」


「キラキラして、本当にすごいね! ゴールドフードを見つけて、姫にゃんこ様を喜ばせようね!」


「うむ」


 その一言で、ふんわりにゃんこは満足そうに微笑んだ。


 宇宙港の一角で、スターガーディアンたちが命令書を整理していた。スターガーディアンの二人は雑談をはじめた。


「そういえば、ぺたにゃんこさんの胸なんだが、前みたときより・・・?」


 しかし、その瞬間、彼らはその言葉が禁句であることを思い出し、慌てて口を閉ざした。


「や、やめろ、それはだめだ、禁句だろう・・・死にたいのか」


「そうだった、危ない危ない」


 こうして、ふんわりにゃんことぺたにゃんこは、ゴールドフードを求めて未開惑星への冒険に旅立った。彼女たちの新しい任務が、どんな試練をもたらすのか、まだ誰も知らなかった。

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