chatGPTにお題出してもらった

笹倉亮

名探偵の探し物

「犯人は貴方だ!!」

 探偵は漆黒の指輪を着けたその指で、中年男性を指す。

 その男は膝を落とし、「あいつが悪いのだ」と泣き喚いた。

 

 警察官に連れられていく犯人の背中を、探偵とその助手はボンヤリと眺める。

 折角の温泉旅行先でも事件に出会してしまうのは探偵の宿命なのかもしれない。


「しかし、先生には毎度驚かされます。よく犯人が言った言葉を一言一句違わず覚えてますよね。流石名探偵だ」

「……まぁな。しかし、偶然私と居合わせるなんて、ツイてない男だ」 

 探偵は少し間を空けたものの、謙遜せず答える。

 彼等は雑談をしながら部屋に戻り、明日の帰宅に向けて早めの就寝をとった。

  

翌朝。


 チェックアウト1時間前だというのに、探偵は温泉にいた。

 汗を流しながら、湯の中を手で探ったり、石をどかしたりしている。

「先生、いつまでそうしているのですか。チェックアウトの時間が来てしまいますよ」

 助手は眼鏡を曇らせながら先生に近づく。

「だってね、君。無くしてしまったんだよ、指輪を!」

 探偵はバシャン!と大きく波を立てながら振り向く。

「私が覚えてないという事は無い!となると何処かで落とした可能性が高い!」

「だからって、ここには無いのでは?朝から何度もここに来ては探していますし」

 助手は呆れながら曇った眼鏡を拭く。しかし探偵は「どこだ?トイレ?それとも庭か?」とブツブツ推理をしている。助手に言い返している余裕もない様子だ。

「それにしてもあの指輪、そんなに大事なんですか?先生が自分の物に執着しているのは珍しい気がします」

「あぁ、あの指輪……というかそれについてる宝石が大事なんだ。あれがないと寝れないんだよ!」

 そんなまた大袈裟な、と助手は思うも、推理をしている時よりも必死な表情を見せる探偵に、思わず口を閉ざす。彼とはまだ知り合って日が浅いが、どうも只事ではない気がした。


(そういえばあの宝石……確かジェットって名前だったか)


 助手とて探偵を志した時期もある。訊ねてばかりではつまらないかと思い、探偵が血相を変えて探しているそれの正体を推理してみることにした。

 手元のスマートフォンで検索をかけ、漆黒の宝石が映し出される。

 ふと、ジェットの宝石言葉の一つが目に入った。


『忘却』


 助手はそっとスマートフォンをズボンのポケットにしまい、温泉から出ていく探偵を追いかける。


「先生」

「なんだ」

「指輪、見つけましょう。寝れないのは困りますもんね」

「ああ。だからすぐ見つけて……あ!」

探偵は何かを閃いたかのように声を上げる。

「そうだ、昨晩は寝れたのだから、その時に指輪はあったんだ!つまり部屋の何処かにある!私としたことが、こんな事にも気づかないなんて!」

目を大きく開き、慌てて部屋に戻る探偵。

その背中を見つめながら、助手はフッと小さく笑った。



―完―





【以下あとがき】

chatGPTにお題をもらい、一度批評を頂いてから再度書き直しています。

自分でも苦戦した部分に加え、思わぬ部分も指摘があったので、大変勉強になりました。

またやるかはわからないので、これで完結としています。


以下小説を連載してますので、よろしければご覧ください。


・竜の騎士

不可視のドラゴンとそれを退治する少女、狙われる少年の話です。

魔法学校が舞台になります。キャッチコピーがダサい気がしてます。どうしよう。

https://kakuyomu.jp/my/works/16817330660777625758


・凡才作家と帯刀青年〜悪霊を添えて〜

なんちゃってオカルトバトル?小説です。

ノリで書いてます。軽い気持ちで見てください。

https://kakuyomu.jp/my/works/16817330647928260995



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chatGPTにお題出してもらった 笹倉亮 @samanoginngamiyaki

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