第39話
事故直後。
天国ではその時ジョシュアが父と母のところに来ていた。
「お姉ちゃんは?」
母の声にジョシュアはわからないという顔をするばかりだった。
「あのすみません娘は?」
その辺を歩く天使に父親が声をかけていた。
なくなって地獄に落ちた事実を伝えられていた。
嘆き悲しむ家族。
「お姉ちゃんがいないと僕悲しいよぉ!」
ジョシュアが喚き散らすように泣いた。
「そうねそうよね。メアリーを天国に連れてきてもらえるようにお願いしてみましょう」
天使に声をかける母。
だが天使が首を横に振るばかり。
地獄に落ちた人間が天国に来ることはできませんと、とりわけ大罪を犯した人間は無理だと。
しかし、両親は食い下がらなかった。
すると天使が提案した。
「娘さんが新たな命として天に舞い降りて神を愛する天使になるのであれば可能です」
と。
その方法はこうだった。
新たな命としてメアリーを産み落とせば天国で家族が集うことは不可能ではないと。
「神より宿し子を身ごもりなさい」
天使がそういうと母はただ黙って頷いた。
すると母の腹はみるみる膨れ上がり産気づいた。
「その子が生まれた時に覚えていることはあなたの娘だったことのみです。
ご安心を地獄の記憶は全て消しておきますので。
神のご加護を…。
あ、それからあなた方は死者ですが、生まれくる子は天使です、身分が違うことだけはわかっておくように、彼女の愛は神にのみ注がれます」
父は頷いた。
「我々とて敬虔なキリスト教徒だ、それで構わない。もう一度家族が集えるのであれば」
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