第31話

「しっかり!名前!言えますか?」


「ドクター意識戻りました!」


生きてる…。


嘘だ。


病院…。


「私…は…」


返事しようとしたけど声がまともに出ない。


また意識が遠くなっていく。


でもどうやら私は生きている。

そして今病院にいる。


どうすればあの人に会えるの…。

彼は今どこでなにをして、今の私を見てどう思っているの?


だめ。

もう無理だ…






深夜私は目を覚ました。

呼吸器と大量の管に繋がれた自分の体に絶望を感じた。


両腕はなく、全身がとてつもなく痛い。

幸い足は折れていないようだ。


でも、もうすることは決まっている。


私は自分の持てる力を振り絞って体を捻るとベッドからわざと転げ落ちた。


立てるようになるまで何時間もかかった気がする。


やっと膝で立てるぐらいにはなった。


そこからは急いだ。


勢いをつけて体を捩って体に繋がった管という管を抜いた。


変なアラーム音が鳴り響いた。

急がなければ部屋に誰か来る。


急がないと。


私は到底走ってるとは言えないスピードではあったが、膝立ちでエレベーターホールに来た。


壁を使って必死に立ち上がり方でエレベーターのボタンを押した。

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