ジレンマのパラドックス
橋本 真一(ハシモト マヒト)
第1話
「ジョシュアももう10歳ね、おばあちゃん達久々に会えて喜んでたわねぇ」
母が振り返らずに助手席からルームミラー越しに話しかけた。
「でも僕がほしかったプレゼントじゃ無かった」
弟は少し不満そうにそう言ったもの、嬉しそうにしていた。
「おじいちゃんとおばあちゃんに会えた事が何よりのプレゼントじゃないか」
運転しながら父が笑顔まじりに声をかけた。
6つ下の弟の誕生日を祝う為にはるばる祖父母の家へ赴いた帰り道、私は弟の隣で後部座席に収まり特になんの感情もなく家に着くまでの時間をどう潰すか考えていた。
「メアリー後ろにある私の荷物とってくれる?」
母が何気なく私に声をかけた。
「これ?」
私は母にハンドバッグを渡そうとした。
眩しい灯が目の前を照らしたと思った瞬間だった。
妙な浮遊感と、車内のものというものが自分の周りを舞い上がっているのが一瞬目に入った。
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