第3話
「ここね!」
聖女マリアンヌがようやくマルスの頭を地面に放り投げる
「…!ここは」
地面の上を砂煙をあげて滑りながら、ようやく止まったマルスがよっこいしょーいちと立ち上がりながら驚く
「知ってるの?」
「俺が毎朝雷魔法の練習してるスポットだな
ほら、ひとけが無いし、あの岩が妙に頑丈で気に入ってたんだよ
でも、壊れちゃったんだな。残念だ」
割れた岩から恐ろしい一つ目の怪物が現れた!
「サイクロプス!」
聖女が叫ぶ!
サイクロ?そんな名前の掃除機なかったか?
目が一つだけか
髪もないし、涎垂らしてる
…ふむ正直俺の方がいい男じゃないか?
マルスは冷静にサイクロン?と自分の実力を評価した
勝ちを確信した凛々しい顔をしていると
聖女マリアンヌがジトっと見てくる
「貴方が魔法の練習で封印の岩を壊したって事じゃないの?
こうなったら戦うわよ!コレから魔王を討伐するんだもの!あんな奴に手こずってられないわ!」
白い体を包むマントをはためかせ、剣を抜き放つと、素晴らしい跳躍を見せてサイクロン?に切り掛かる!
封印の岩にガッと一瞬剣が擦れ、火花が散る
片手でマントを振り払いながら、もう片方の腕で構わず剣を走らせる!
どっかーん!
何とサイクロン?が爆発した!
「なんだと!?」
聖女は爆発系の魔法の使い手か!
その手があったか
マルスは唸る
効果音、背景の派手さを考えると雷ではなく爆発魔法でも良かったかもしれない…
爆風に押されて聖女がマルスの近くに飛んできた
煤けた白いマントをはたいている
サイクロン?はなんか描写するのも憚られるヤバい感じになってた
「ちょっと!回復してよ!」
ゲホゲホしながら聖女が要求してくる
「聖女なのに回復魔法使えないのか?」
金をとるいい機会なのでまあマルス的には良いけど
「というより、魔法そのものが使えないの」
「どういう事だ?さっきの爆発魔法は?
聖女が魔法を使えないのか?」
「だから私は偽の聖女なのよ
私の剣は特殊な作りで、
擦ると摩擦で火花が散るから、急いで可燃性の粉をばら撒いて引火させて、私がダメージ喰らう前に、耐火耐熱マントで防いでバックステップで逃げてるのよ
魔法が使えない分筋力は鍛えているわ」
マントで隠された肉体は歴戦の女戦士のものだった
「あのスケベ皇太子が、歴代の女の聖女が王族と婚姻関係を結ぶのが多いからって私を聖女に仕立て上げたのよ
私も家のためホイホイ偽聖女なったけど、あのスケベは本当に無理だから逃げ出したの
私の好みはあんな軟弱な軟派なナヨナヨしてる奴じゃなくて、私より筋肉を鍛え上げた不屈の戦士だから!」
「つまり俺か」
「貴方は戦士系ではないでしょ!」
マルスはむーっとほっぺを膨らませた
31歳童貞の
マルスはむーっとほっぺを膨らませた
評価が不満らしい
「とにかく、聖女が無理なら魔王を倒して
勇者になるから着いてきなさいよ!」
マルスはクラウチングスタートの姿勢をとった
頭を鷲掴み上げられた
こうして2人の旅が始まった!
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