偽の聖女だと追放された30歳童貞だけど、やっぱり俺が本物でした〜偽物扱いで別に良いです。禁欲生活もう嫌です。なんで新しい聖女が俺をほっといてくれないんだ
ありあんと
第1話
「マルス・ソレイル、よくも民を謀ってきてくれたものだ」
偉そうな格好をしている実際に偉い上に、俺より年下で尚且つ多分確実に童貞では無い男がこちらにビシっ!と指を突きつけた
ぴしゃごろーん
その男は雷の魔法が使えるので、もの凄くカッコいい効果音を付けた
すごい!憧れる!俺もやりたい!
「しかし、偽聖女マルスよ!その悪運も今日までだ。
なんと言っても正真正銘誰が見ても一目でわかる程確実に明白な真実の救国の聖女が発見されたのだからな!」
マルス・ソレイル30歳童貞
勿論恋人なんかいた事もない男であるところの俺は、
この国のマイケル皇太子にどう答えたら良いのか、分からなかった
分からなかったが、
返事の良さには絶対の自信があるので、とりあえず返事をした
「はい!」
「はい!じゃない!」
「はい!」
「だから!はい!じゃない!」
「はい!」
「ええい!衛兵!コイツを摘み出せ!」
ええいえいへい?
ってなんだ?
マルスは何も分からないまま追い出された
この国には100年に一度聖女が生まれる
その聖女が祈ることで、みんなが笑顔で、毎日ご飯が美味しくなり、みんなの笑顔を見ていれば、おかずなしでお米を3杯は食べられる素敵な国になるのだと言う
偉い人がなんかそう言っていた
そして、マルスは正にその聖女の生まれ変わりらしい
幼い日に親元を離されてから、聖女としての教育を受けた
お淑やかに育つ感じの教育だったみたいだが、マルスを含めて誰もやる気を出さなかった
そしてなんやかんやで今に至る
トボトボととりあえず冒険者にでもなったらモテるのかな?
と考え冒険者ギルドを目指し始めたマルスは、城に入っていく若い女を見た
サラサラの金髪に青い目で美人だ
あれが本物の聖女らしいな
確かにアレだな
うん本物だ
マルスも納得した
冒険者ギルドでDランクに登録したが、普通に依頼が無いために、スラム街で物乞いに混ざって、通りすがる人の病気を一方的に治しては金をせびる生活を始めた
この生活がマルスには合っていたらしく、めでたく31歳童貞を迎えることができた
そんな幸せな日々に突然の乱入者が訪れた
「探したわよ!マルス・ソレイル!私と一緒に来なさい!」
ずばびし!っと効果音のしそうな勢いでコチラに人差し指を指してきたが、
どうやら雷魔法の使い手では無かった様で実際には音はしなかった
やれやれお嬢ちゃんそんなんじゃあダメだ
ずばびし!ぴしゃごろーん
きまったな
マルスはただ回復の押し売りだけをして31歳童貞になった訳じゃ無い!
マルスのさした指が真っ直ぐ女の鼻の頭をミリ単位のブレもなくヒタリと捉えた
「そんな、雷の高位魔法を無詠唱で!?」
むえんしょう?無延焼?
おやおや、そんなに驚くとはね
確かに練習し始めの頃は雷でそこら辺の枯れ草が燃え広がって、やばかったが、
今はちゃんと燃えやすいものが周りにないことをちゃんと指さし確認してるからな
町人総出でバケツリレーした半年前のあの日を懐かしく思い出す
俺なんかやっちゃいました?
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