2024年7月中旬2 理解、されてないんだ


土日を通して、なんとなく「行けるかも」と思った月曜日。


私は数日ぶりに出社した。


居心地の悪い中、「おはようございます」とだけ言った。


仕事を進めてくれた〇〇さんに、声をかけなきゃ

仕事の進捗、休んだ分も含めて上司と話さなきゃ


なんとか出社した私には、誰かに声をかけることも、難しかった。


そして「どうでもいいから休んだことを責めないでくれ」と思った。



とはいえ、仕事は放置している。


上司から何も言われないわけがない。


「会議室、予約したから」


「はい」


居心地の悪いまま、私は上司と打ち合わせをした。


何も触れられず、淡々と仕事の進捗報告が続いた。


(あれ?)


(休んだ話、避けてるのかな)



もう話す内容がないぐらい進捗を確かめ合ったあと。

上司が一呼吸を置いて、話した。


「この前の休んだことだけどさ」


まあそうだよねと思った。


「はい」


「休んでいる間にも仕事をしてくれている人がいるわけなんだからさ、〇〇さんとか」

「まずはありがとうとか伝えた?」

「同じ仕事仲間なんだから〜・・・」

「あと休むんだったら引き継ぎは必ず〜・・・」


私は得意の引きつった笑顔で、「はい、すいません」を繰り返した。


実はこの時言われたことを、私はあまり覚えていない。


ただし、社会人として大事なことを指摘されたことは覚えている。



半分以上「はい、すいません」しか言わなかった私と上司の打ち合わせは終わり、会議室から解放された。


私は自席で、下を向いてなんともないふりをした。


やっぱり、目には涙を溜めながら。


ぽた、ぽた。


今回は、限界だったようだ。




俯きながらトイレに駆け込んだ。


個室で一人、壁に寄りかかりながら静かに泣いた。


10分、20分、30分、、、と時間は過ぎていった。


(私は、感謝しない人じゃない、今はできないんだよ)


(休んだ時の引き継ぎの連絡だって、やらないじゃない、できないんだよ)


(((私は、仕事向いてない)))


いつぞやに思ったことを、もう一度思っていた。



持ち込んだスマホの画面が光った。


上司からの連絡だった。


そこには、「『新卒3年目』だから、そろそろ自分で考えて仕事をしてほしい」と書かれていた。


実力も経験もない、『新卒3年目』


(理解、されてないんだ)


孤独感が増した。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る