右園死児報告

報告四四号 汚染集合体

報告案件　汚染集合体

報告者　空軍警戒管制機『白夜』

　首都最大の建造物である空中電波塔（俗称スカイコード）屋上に、鉄骨およそ五〇〇トンが運び込まれ、溶接組み立て、舞台が増設された。金輪部隊はこの舞台中央に奪取した汚染体を集積し、オブジェ状に組み上げた。

　それは蛆虫や蛆主宿儺、遺体（大型）、右園死児化した人間などを土台とし、最も巨大な死児を支柱に据え、羽田電次の標本を飾りつけ、鳥の右翼を接続し、頂上に発光するまどいの巨人（脳髄）を配置したものだった。我々はこれを汚染集合体と呼称する。

　五月三日一〇時二一分現在、舞台上に汚染死した金輪部隊の死体に混じり、自立歩行している人影が確認されている。特殊なデザインの強化鉄板ジャケットと、金糸の覆面をかぶったこの人影の動向に、最大限の注意を向けられたし。