秘密報告を受け取った者に届いた手紙
件の秘密案件報告に関する一切に対して緘口令を敷く。これは政治的圧力ではなく、我が国の治安と右園死児対策の結束力を守るための指令である。指令は諸君それぞれが従うべき権威から発せられている。背く者は明日の朝陽に臨めぬものと覚悟せよ。
以下は諸君の職責に免じた唯一報告である。
・鹿田丸雄三は廃人ではなかった。
・鹿田丸雄三は複数の素性を乗り換えた推定一八〇歳の生物であった。
・鹿田丸雄三は内閣総理大臣を経験している。
・鹿田丸雄三とは偽名である。
・我々が鹿田丸雄三と認識していた老人は
・坂下藤吉の体内、胸部心臓直下には空洞があり、ここに体長二〇センチメートルほどの超小型の死児が寄生していた。
・この死児が鹿田丸雄三として言動していた本体である。
・遺体によって傷害を受けたのは坂下藤吉であり、本体ではない。
・死児は寄生した人間の思考と言動を操り、右園死児以外の名を名乗る右園死児として活動させる。
・この特性により人間社会を効果的に攻撃し、混乱に陥れることに成功した。
・一〇〇年以上もの間、それを繰り返してきた。
・それを可能にするための人脈的資源を培い、常に我が国の領土内に用意していた。
・政府、軍部、民間に、この寄生生物の支援勢力が存在する。
・ただしその勢力は、自身が右園死児に与していることに気づいていない可能性が高い。
・感情的なあぶり出しは不要である。
・しかるべき組織が特定に当たる。
・寄生生物は完璧に拘束されており、一切容赦のない研究と尋問が施される。
・熊沢慎太郎に関しては、調査報告体系筆記者の任を解く。
・これは懲罰ではない。
・彼は健在である。
・この件に関しては、我が国の重篤な右園死児的被害が除かれたという喜ばしい意味しか存在しない。
・重ねて記すが、以降本件に関する言及を禁じる。
・以上である。
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