報告三四号 遺体(大型)
報告案件 遺体(大型)
報告者 田島茜(軍研究員)
第三千歳空港内に全長六メートルほどの人骨が自然発生した。空港側が用意したオブジェと勘違いした一般人数名が足指部を損壊、対応する身体部位ではなく全身が瞬時に破裂した。空港警察が対処しきれず軍部に応援を要請。事態は収拾された。
空港は閉鎖、同空間に残存していた約四〇〇〇人が精密検査を受けた。人骨はその性質から報告二三号 遺体 の亜種と仮定、厳重な監視体制のもと軍収容施設に移送された。その大きさゆえに損壊事故発生の確率は低いが、反動効果が巨大であるため最重要汚染体に認定された。収容直後、報告三〇号 売春婦 が面通しを希望。
売春婦の証言により、人骨は火麻谷一郎の長男と判明。売春婦に更なる聞き取りを行ったが、それ以上の有意義な情報は得られなかった。売春婦は火麻谷一郎や兄弟のことはほとんど覚えておらず、また彼女の母恵子にも聞き取りを行ったが廃人化が著しく意味のある言葉は引き出せなかった。
売春婦と恵子は、人骨を『悲しい人』と表現。死因その他の人間的経歴は解明できず、残る最後の兄弟の情報も得られなかった。本案件遺体は再出現時の挙動が予測できないため、自動監視システムとブラインドマン部隊による二重監視にて封印とする。
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