報告一一号 猿(二例目)

報告案件 猿(二例目)

報告者 日真柴優作ひましばゆうさく


 他者の所有する山林に侵入して猟を行っていた男が、自身の仕掛けた猟具(トラバサミ)を拾い集めている猿と遭遇。身の丈三メートルほどで、目も耳も無かった。猿は男を追跡し、銃撃されても逃げず倒れなかった。男は山林入り口に停めていた乗用車まで逃走。エンジンをかけ、発車、一〇キロ先の市街地の友人宅に逃げ込んだが、約三時間後に猿に追いつかれた。

 玄関前に仕掛けられたトラバサミに足を取られた男は、そのまま猿に連れ去られた。友人が警察に通報し山林の捜索が行われたが、男が発見されることはなかった。

 山林の所有者が後に右園死児案件に関与したため、本件の猿も同様の現象物として整理されている。猿の姿形情報や山林侵入の顛末てんまつは、被害者の所持していた記録媒体やドライブレコーダー、友人への告白などにより形成されている。

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