第9話 委員長の家に入った
「入って入って~♪」
「お、おじゃまします」
「ちょっと待っててね!今飲み物用意するから!」
「あ、ありがとうございます」
現在、俺は委員長の家にいる。
委員長のお母さんに(半ば強引に)引っ張られたためだ。
「…座ったら?」
委員長が少しそわそわした様子で声をかけてきた。
「あ、ああ」
大きなソファーが二つある。
そこに座ると委員長が正面のソファーに座った。
「ごめんなさい。お母さんが無理言って。
時間とか大丈夫?」
「全然大丈夫だ。どうせ家に帰っても誰もいないし」
「え…それって…」
委員長が申し訳なさそうな顔をしている。
…多分勘違いしてるな、これ。
「俺の親、生きてるからな。仕事でいないだけだからな」
「…え、ええ?そうなの?変な言い方しないでよ」
「委員長が勝手に勘違いしたんだろ」
「う、うるさい」
「あらあら、楽しそうね~♪」
委員長のお母さんがコーヒーを持って来てくれた。
「あ、ありがとうございます」
「ゆっくりしていってね♪」
そう言うと委員長のお母さんはなぜか俺の横に座ってきた。
「ち、ちょっとお母さん!?なんで森本君の横に座ってるのよ!」
「あら~♪もしかして桜ちゃん横に座りたかったのかしら?」
「ち、違うし!」
「桜ちゃんと仲良くしてくれてありがとうね、森本君!」
「いえ、俺の方こそ委員長にはいつもお世話になりっぱなしなので…」
「ん?委員長って桜ちゃんの事よね?
これからは名前で呼んであげてくれないかしら?桜もその方が嬉しいでしょ?」
「べ、別にどっちでもいい…」
委員長の顔が真っ赤になっている。
「じゃあお願いね!森本君♪」
「…はい」
「へぇ~!森本君怖がられてるんだ!
こんなに礼儀正しくてカッコいいのにね♪」
「アハハ…ありがとうございます。話しかけようとしても避けられてしまうんですよね。まぁ自分でやってた事が原因なんで仕方ないんですけどね!でも、桜さんはこんな自分の事を心配してくれていつも声をかけてくれるんです。だから感謝してもしきれません!」
「ち、ちょっと何恥ずかしい事言ってるのよ!わ、私自分の部屋行くから!じゃあね、森本君!」
そう言うと、委員長は階段を上っていった。
「もう…あの娘ったら!ごめんね~。照れが限界まで来ちゃったみたい!」
「ハハハ…可愛いですね」
「あの娘素直になれなくて変な態度とっちゃう事もあると思うけど仲良くしてあげてね」
「はい!もちろんです!じゃあそろそろ僕は帰りますね!」
「良かったら車に乗ってく?」
「ここからそんなに遠くないので大丈夫です!」
「そう。気をつけて帰ってね」
「はい!ありがとうございます」
「今度来てくれた時はご馳走作るから食べてね!」
「楽しみにしてます!それじゃおじゃましました~!」
帰り道。俺は考えていた。元々、森本和樹と委員長に接点はあったのか?とか咲が好意を寄せているのは過去に森本和樹が何かしたからか?とか色々思ったが、やはり何も分からない。そもそも森本和樹なんてゲームしてて見かけた事ないし!
よし!一旦考えるのを放棄しよう!
…っていうか明日委員長に会ったらなんて呼べばいいんだろう?委員長?桜?…うーん。
まぁその時の雰囲気でいいか!
またしても一日で色々な出来事があったなぁと思いながら帰宅したのだった。
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