無題のドキュメント

奴李丘

1こ目 「幽霊コンパイラ」

今日ね、今すぐね、ぐっすり眠りたいよね。

まだいいけどさ。

君にはアルゴリズムもエントロピーだって一ビットも通らない、鯰文書ならまだいいのに。

誠心誠

 意

  お守りしま

   す、忌 

    憚

     なきご意見、本

      日は誠にあ

       りがと

        う

        ございま

         した

          。

今だって、君は思考しているというのに、発散して疾うの君の君らしい君への送信は途切れ、また周囲への回折は離脱を表明している。

有意性があるとするならば、まず仮説をたてなければ、その表層的な君の意思は紡がれないというのに、怠惰な君は未来への投資もせず、ただ無暗矢鱈に迂闊な君は抽象的な恐怖にも気付かず、内側の教室に語り続ける。

恐怖を解決する方法はなんだろね。

不安の触媒はなんだろね。

小学生にでもわかるよね。

なんて、言葉はどれだけの人がただ文脈のままに吐いて捨てただろうね。

もしかしたら君が正しい?

共感性を持ち合わせた何かがない、何かに依る何かみたいな人なら理解してくれるだろうね。

百歩譲って、段階的な表層的な現状が、現実への信頼が崩壊したなら君は正しい。

でも僕たちは情報を得る。

歴史を感じる。

未来を誰かの未来を、死を、何かを望んだ誰かの死を、アプリオリだなんて、大層な言葉を用いなくても、それを恐怖によって形作っているのさ。

言葉に依る虐殺より、セックスなんて快楽の方が良いなんて誰も思わないよ。

侵略も、虐殺も全人類の好きなものだもの。

鏡をみた憧憬が、他人をチカクする大罪が、他者への侵略へと旗を挙げる!

コミュニケーションなんて生ぬるいよ。

染め上げる色が焦げて聞こえるよ。

匙も投げたくなるよ。

ただ、君が消えてしまうなら。

僕はその現実にサインを送ろう。

だから、ね。

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