第29話:火食の神(イリキヤアマリ)
港を
火と
武器なんか持たなくても、
だから王様は、輸入しても売れ残るからって断ったらしいんだ。
断られた商人は、それを不満に思って、他の
外国人がやったことだから、
その商人たちは今後ヤイマ国に立ち入ることは禁止されるそうだよ。
「父上、今年はオレとナナミも出ます」
「うむ、
翌日、リッカにいにぃとぼくは、王族の魔術
城間家のおじぃに似ている(
「本当は、ふたりとも部屋で休んでいてほしいのだけど」
「オレは最近体の調子がいいから平気だ」
「ぼくはもともと元気だから、だいじょうぶだよ」
母上は、めずらしくリッカにぃにぃだけじゃなく、ぼくの心配までしている。
「イリキヤアマリさまのお告げで、リッカとナナミも参加させるようにとのことだからな」
「ぼくは
「ならば、参加するべきであろうな」
父上に言われて、リッカにぃにぃとぼくはたがいの顔を見て、ヨシとうなずき合った。
空に星々が
リッカにぃにぃとぼくは、大きいにぃにぃたちといっしょにお城の中庭に来た。
「光魔術の披露は人々を楽しませるだけじゃなく、夜空の向こうから近付こうとする
そう言って、カズマにぃにぃがほほえむ。
一番上のカズマにぃにぃから順に、魔術で光の
「
ガスマにぃにぃが片手を夜空に向けると、その手からうずまく光が現れて、打ち上げられる花火のように空へとのぼり、花のように広がった。
大きな光の花が、夜空に美しく開いた。
その後に、リュウジにぃにぃ、シュウゾウにぃにぃ、シロウにぃにぃ、シンゴにぃにぃが続く。
はなやかな光の花々に照らされて、ヤイマ城はライトアップされたみたいに見えるよ。
「次はオレたちだな」
リッカにぃにぃがぼくを見て言う。
何度もふたりで練習した、光の魔術をみんなに見せるときがきた。
「
「
リッカにぃにぃの光が川のように夜空に広がり、ぼくの光がたくさんの魚になって、その川を泳ぐ。
大きいにぃにぃたちがなんども打ち上げる光の花が、その周囲を飾る。
「もうひとつ、大きいのを出すぞ」
「うん!」
続いてぼくが作り出したのは、クイツバさまをイメージした光の
2つの
まるで
その光の雨は
お城の外から、わーっとたくさんの人々の
その声にはヤイマ国の民だけじゃなく、外国の人たちもまじっているはず。
演じているぼくたちも、見ている人たちも、みんなが楽しんで、
……その後……
ぼくがこの世界のナナミだと知ってから、大きいにぃにぃたちがやたらとかまってくるんだけど。
どうすればいい?
「ナナミ~っ!」
「だきしめてもいいかい?」
「もうひとりのナナミにはかまってもらえなくて、にぃにぃたちはさびしかったぞ」
にぃにぃたちを前に、ぼくは思わず後ずさりした。
どうやらぼくの代わりにこの世界にいたナナミは、大きいにぃにぃたちのことも
そりゃあこんなデッカイ体で近付かれたら、にげたくなるけど!
「えっ? やだ。にぃにぃたち力強すぎて骨が折れちゃう」
「ナナミ、にげるぞ!」
そんなとき、いつもリッカにぃにぃが助けてくれる。
リッカにぃにぃとは、ずっといっしょに生活しているよ。
ぼくにだきついたリッカにぃにぃの【
「まぁ~た、デカイにいにぃたちからにげてきたのか?」
「あっ、ムイ来てたの?」
「おう。ミジュンがいっぱいとれたから、カラアゲを作ってもらいに来たのさ」
ぼくに巻きこまれてこの世界に来たキジムナーのムイは、
でも、この世界が気に入ったから残ることにしたと言っていた。
最近は割と堂々と城の中を歩き回っていて、海でとってきた魚を
「おどろくほど健康になられましたね。これならシロマさまといっしょに学校へ通えますよ」
「ほんとうか?!」
この世界の
リッカにぃにぃの健康診断に来たお医者さんは、ニッコリ笑ってうれしいお知らせをしてくれた。
リッカにぃにぃは今までは病気ばかりしていて、学校には通えていなかったらしい。
年下のナナミが学校へ行くようになって、くやしくてイジワル言ったこともあったそうだよ。
今ではナナミがで0点をとったのをからかってしまったことを、
「リッカがこんなにも元気になったのは、きっとナナミがいっしょにいてくれるからね」
「きっとそうだ。ナナミが近くにいると、体の調子がいいぞ」
母上は、リッカにぃにぃが健康になったおかげで、心配性が減ってきたみたいだ。
リッカにぃにぃは、ぼくから何か力をもらっているみたいだと言う。
そういえば、
「我が国に兵器は要らぬ。強すぎる火は人を苦しめるだけだ」
あるとき父上は、兄弟全員を呼んでそう言った。
子孫の代になっても、外国から兵器を仕入れてはならない、と、父上は特にカズマにぃにぃに言い聞かせている。
「魔術がある限り、この国は
「はい」
父上の言葉に、カズマにぃにぃがうなずいた。
カズマにぃにぃがいつか王様になって、その子供が王様になっても、火と
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