第22話:豊年祭(プーリィ)
夏の祭りが始まった。
このお祭りは多分、オイラがいた世界の
豊年祭は、今年の
まあ、分かりやすく言えば、神様に「お米やお野菜ありがとう。来年もよろしくお願いします」って伝えるためのお祭りだな。
オイラの島では、
イリキヤアマリ神に守られるヤイマ国の豊年祭は、オイラの島とは行事がちがう。
行列は弥勒様じゃなくてイリキヤアマリ様、綱引きの代わりに
「王族は大会には出られないが、祭りの最後に魔術を
光の魔術を使ってみせながら、リッカは七海に祭りのことを話している。
真夜中の練習場。
リッカの両手からキラキラ光るさまざまな色の
「これが夜、祭りの最後に使う光の魔術だ」
「すごくキレイだね。ぼくの世界にある花火ににているよ」
「だろう? これはもともと王族の祖先が
「ぼくはこっちの方が好き。さわってもヤケドしないから」
「オレがナナミといっしょにやりたいのは、この魔術だ。祭りの最後に、ふたりで共演しよう」
「うん! 楽しそう!」
七海は空中でキラキラ光る粒に手をのばして、
それを聞いて、リッカも満足そうにほほえんだ。
ヤイマ国は外国との交流は少ないけれど、日本から使者が来ることはあるらしい。
花火を
でも、火薬を使わずに同じようなものを作り出した王族に、逆にビックリしたかもしれない。
祭りの1日目、七海とリッカは他の王族といっしょに
みんな真新しい着物を着ているのは、
その風習は、オイラがいた島の一部地域にもあったから知っている。
御嶽に供える
イシャヌメー(いぼぐさ)、サフナ(ボタンニンジン)、インミズナ(みずひゆう)、イイシ(つのまた)、カーナ(おごのり)、マンジュマイ(パパイヤ)、マミナ(もやし)。
和える
「ここは、王家の祖、アカハチさまの妻、クイツバさまのお墓でもあるのだよ」
ヤイマ国の王様、ナナミたちの父ちゃんが言う。
七海に聞いたら、父ちゃんは七海のじいちゃんに少し似ているらしい。
かみの毛は、にぃにぃたちと同じで赤い。
「クイツバさまは、後にアカハチさまの敵となるナアタウフシュの妹で、アカハチさまの暗殺を命じられても従わずに、アカハチさまを愛して共に島の自由のために戦い、生きることを選んだ方なの」
同じ女として、王妃さまは夫を愛して寄り
オイラがいた世界では、クイツバは同じく愛を貫いたが、実家から裏切り者あつかいされて、アカハチといっしょに殺された。
その墓は、実家の人たちに足蹴にされ続けたという。
一方で、クイツバの姉のマイツバは、祈願によって
アカハチが勝ったこの世界では、クイツバの墓が御嶽になっているんだな。
じゃあ、この世界のマイツバは?
「ぼくの島では、御嶽になっているのはマイツバという人でした。その人のお墓はこの世界ではどうなったんですか?」
同じことを思った七海が聞いたら、なんとなくオイラが予想したとおりの答えが返ってきた。
「マイツバとナアタウフシュは、琉球国に味方したのでイリキヤアマリ神の加護を得られず、アカハチさまに
王様が教えてくれた。
どうやら、墓はこの国には無いようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます