第12話 上司の部屋への侵入(帰還編)

リサは、上司の机の上にあった文書を慎重に写し取るための魔道具を取り出した。小さな魔法の杖が、文書の上にかざされると、光る紋様が現れ、文書の内容が瞬時に複製されていく。彼女の手元で、小さなクリスタルの中に情報が映し出されていく様子は、まるで魔法のようだった。


「これで文書の内容は完全にコピーできたわ。」リサがほっとした様子で言った。「アレックスに伝えれば、彼の疑問が解決できるはず。」


ノアが周囲を見渡しながら、警戒を続けていた。「よし、これで十分だ。急いで部屋を出よう。」


リサが魔道具を仕舞い込むと、イーサンが本棚の中にある一冊の古文書に目を奪われていた。「ちょっと待ってくれ。この本、何か気になる。」


その古文書は、他の書物と違って異様に古びており、表紙には見覚えのない魔法のシンボルが刻まれていた。イーサンの興味が湧き、彼はその文書を手に取り、慎重に調べ始めた。


「これもコピーしておこう。」イーサンが言い、リサに魔道具を再び渡した。「もしこれが何か重要な情報を含んでいたら、役立つかもしれない。」


リサは頷き、イーサンが指摘した古文書も魔道具でコピーを開始した。文書が光に包まれ、その内容がクリスタルの中に映し出されていく。


「ありがとう。」イーサンが礼を言うと、リサは再び魔道具を仕舞い込み、ノア、イーサン、ソフィアのもとへ戻った。「これで全ての情報を持ち帰れる。」


「急いで帰ろう。」ノアが指示し、彼らは静かに部屋を後にした。警備の目をかいくぐりながら、彼らは無事に廊下を抜け、地下の通路を通って施設を離れた。


外に出ると、夜の静寂が彼らを包み込み、星空が広がっていた。彼らの心は、得られた情報がどのような意味を持つのか、そしてアレックスがどのように反応するのかでいっぱいだった。


アレックスの元に戻る途中、リサは古文書について考えながら、手元のクリスタルを見つめていた。文書には見慣れない魔法のシンボルが刻まれており、その意味が気になって仕方がなかった。何か重要な情報が隠されているように感じられた。


「この古文書、何か重要なヒントが隠されているかもしれないわ。」リサが言い、他のメンバーにその思いを伝えた。「アレックスにこの文書も見せるべきかもしれない。」


「そうだな。」ノアが答えた。「アレックスがこれをどう解釈するか、彼の反応が気になる。」


チームがアレックスの元へ戻ると、彼はまだ部屋で待機していた。リサたちは急いで得られた情報をアレックスに渡し、古文書も含めて説明を始めた。


「アレックス、これが上司の部屋で見つけた文書のコピーだ。」リサが手渡したクリスタルをアレックスに見せながら言った。「それと、この古文書も見つけたの。何か特別な意味があるかもしれない。」


アレックスはクリスタルを手に取り、じっと見つめた。その表情は真剣で、深く考え込んでいるようだった。古文書の内容も確認しながら、彼は次の行動を考えていた。


「ありがとう、みんな。」アレックスがつぶやいた。「この情報をもとに、次に何をすべきかを考えよう。」


チーム全員が一息つき、アレックスの指示を待ちながら、次の展開に向けての準備を整えていた。

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