六 解放
ダリウス・デス・ダイナスはデロス帝国の母星惑星ダイナスの刑務所から、リブラン王国の惑星リブラン2の戦地に強制連行され、兵士に仕立てられた。
ダリウスは兵舎で兵士たちに言った。
「おまえたちは、ここで死ぬ気か?それとも蜂起して皇帝ホイヘウスと戦うか?
リブラン王国やグリーゼ国家連邦共和国に投降して皇帝ホイヘウスと戦うか?」
ダリウスが話しているのは、刑務所から戦地に移送されて兵士にされた囚人たちだ。
「皇帝ホイヘウスが考えているのは領土拡大だ。そのために、国民の命を踏み台にしてリブラン王国へ軍事進攻してる。
なんのためだ?国民のためか?皇帝ホイヘウス個人の欲のためだ!
馬鹿な取巻きの元老院と平民貴族院が皇帝ホイヘウスを煽りたて、国民の命と引き替えに領土拡大にともなう利益を得ようとしている!」
ダリウスは元囚人だった兵士たちを見渡した。
「俺は、ダイナス王国のダリウス一世の末裔のラプトだという理由で、警察の証拠捏造で殺人犯に仕立てられて死刑囚になった。
皇帝ホイヘウスは軍事戦略と言って兵士をこのリブラン王国に送りこんで侵略させ、数万の我々同胞兵士の命を奪った。
俺と皇帝ホイヘウスのどっちが殺人犯だ?
おまえたち死刑囚と皇帝ホイヘウスの、どっちが犯罪者だ?」
「皇帝ホイヘウスだ!」
と兵士たちが囁いた。兵舎の外に声を漏してはいけない。
「我々は皇帝ホイヘウスのような大量殺戮者ではない!戦争犯罪者ではない!
リブラン王国から侵略されていないのに、リブラン王国をメテオライト攻撃して、復興を口実に侵攻し、さらなるメテオライト落下をでっち上げ、災害復興を口実に軍事侵攻する意味がどこにある?!
皇帝ホイヘウスは、リブラン王国とグリーゼ国家連邦共和国を独裁国家と呼んだが、皇帝ホイヘウスが行なっているが独裁だ!
よく聞け!
蜂起して皇帝ホイヘウスを抹殺するか?
投降してグリーゼ国家連邦共和国兵士として皇帝ホイヘウスを抹殺するか?
それとも、皇帝ホイヘウスの犬になって戦死するか?
どっちだ?!」
突如兵舎の扉が開いた。デロス帝国軍部隊指揮官の将校が拳銃を手に、軍警察と共に兵舎に入ってきた。
「我々は皇帝に忠誠を誓ったデロス帝国軍兵士だ!クーデターは許さん!」
「わかった。指揮官の立場は大いに理解している」
ダリウスはおちついている。武器を軍警察に渡すふりをして将校を射殺した。同時に、兵士たちは軍警察を射殺した。
「殺られる前に殺るんだ。殺らなければ、戦死するまで戦地に留められたままだ。
ここにいる兵士全員が死刑囚だ。皇帝ホイヘウスの軍事侵攻の捨て駒だ。
自分の欲のために、皇帝ホイヘウスは我々だけでなく、国民を軍に招集して、国民の屍の上に、リブラン王国占領の凱旋戦車を走らせようとしている。
いったい皇帝ホイヘウスは、どれだけ蓄財すれば気が済むのだ?
こういう輩は生きている限り金に執着する!
よく聞け!こいつら将校と軍警察はリブラン王国との戦闘で戦死した!
今後の指揮官はこの俺、ダリウス・デス・ダイナスだ!
今後、送りこまれてくる兵士を我々の部隊に引きこみ、我々は我国家を皇帝ホイヘウスから奪還する。みんな、いいな!」
「もちろんだ!皇帝を倒せ!」
皆が声を潜めて承認した。
戦地に強制移送された死刑囚たちは略奪や暴行や殺人の犯罪に長けていた。
兵士となった死刑囚は軍から武器と兵器と食糧を得て、戦地に送られてくる増強部隊を友軍にし、皇帝ホイヘウスの意向を指示する将校と兵士を射殺して、戦死者として本部へ連絡した。いつしか、死刑囚たちの部隊は解放軍として一斉蜂起した。
リブラン王国軍は解放軍に賛同し、皇帝ホイヘウスを支持するリブラン王国の政府組織を壊滅して、王国内のデロス帝国軍を壊滅し、グリーゼ国家連邦共和国軍の協力を得て、デロス帝国の母星惑星ダイナスに侵攻し、デロス帝国軍を殲滅して皇帝ホイヘウスを討った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます