一 視点
巨大電脳意識・神場のディスプレイに、ダリウス・デス・ダイナスの思考と記憶の4D探査映像が現われた。弾鉄はアバターの神場と共に、ディスプレイの映像に見入った。
ねっとりした側壁の空間が次々に後方へ移動し、溜った粘液に突入した。そこを抜けると、また、ねっとりした側壁の空間を移動し、汚泥の塊に突入して移動が止まり、時が過ぎた。汚泥が移動して固まり、塊に圧迫されて弾かれるように青白い光が照らすプールに、塊ごと飛び出した。煌々と青白い光が照らすプールで、塊の中から這い出た。
青白い光が照らすプールで蠢いた。そいつはおまえだ、と意識が湧いた。
『俺のはずがない・・・』
ダリウスはそう思って身体を探した。
『身体がない・・。どこから、この気味悪い汚泥の塊にまみれたそれを見てるんだ?」
ダリウスは視線を追った。
『視線は・・・、部屋の天井に近い壁だ。どういうことだ?』
ダリウスは壁から汚泥の塊の中のそれを見つめ、目を逸らした。
『逸らした目はどこにある?』
瞼に触れようと手を伸ばしたが、手がない。
『身体を感じない・・・』
ダリウスの視線が壁を擦り抜けた。屋根が見えた。そして、街が見えた。都市が見えて、大地が見えた。さらに、地平線が見えて、地平線が湾曲した。
『惑星だ・・・・』
いちど離れた惑星が今度は迫ってきた。近づくにつれ、大地が火を噴き、瓦礫と化した都市が近づき、建物が炸裂し、いっきに、大地の全てが迫ってきた・・・。大地は戦場と化している。
『これは・・・、リブライト星系のリブラン王国の母星、散開惑星リブランだ!』
目の前に戦闘地域が見える。リブラン王国の散開惑星リブランの、弧状列島の北東地域へ侵攻するデロス帝国軍と、これを防衛するグリーズ星系のグリーゼ国家連邦共和国防衛軍の攻防だ。弧状列島の北の島から大量のドローンが飛翔して弧状列島の北東地域へ移動している。
これに対抗して弧状列島の防衛軍は大量のドローンで防戦する。両軍の戦艦は次々に大破し、弧状列島の北東地域に上陸したデロス帝国軍のドローンは共和国軍のドローンと激しい攻防を続けている。
『何だ、これは!?』
ダリウスは目の前の光景が信じられなかった。
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