天使のゆらめき

雨音がする。

台風が近付いているとネットニュースで見たような、見ていないような。外出しない日は天気すら興味がなくて、普段からなるべくノイズになるようなものは排除して生きている。癒しの音として愛されてる音も、自分にとっては雑音でしかないから耳を塞いだ。


火を見ると落ち着きますよね。

動画サイトが勝手におすすめしてきたチャンネルを誤タップしたとき、キャンプ配信をしている芸能人が言っていた。ぱちぱちと木の爆ぜる音と火の粉が夜闇に舞う中、人工的なライトに照らし出された世界に住むはずの彼は、ディレクターズチェアに腰掛けて自然の灯りを楽しんでいた。


雨はたどり着いた先で名前が変わる。

海、川、水たまり。


火はどうだろうか。

ランプ、バーナー、火事?


大きくなればなるほど、人間への脅威となるのはどちらも一緒で、水は防波堤やダムで調整され、火は消し去られる運命にある。


自然に生まれたこの二つは決して交わることがなく、仲良くできないのは可哀想だと思いながら、強くなる雨音にノイキャンイヤホンで対抗する。


水と油以上に相性が悪いこれらが同時に存在することが、神がいる証なのではと考えていたら眠くなってきた。ベッドは人を詩人にさせる。

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BGMありきのお話 あめのちあめ @ame_mtr

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