第5話 カイルとの再会

アゼル、エレナ、そしてソリテールの三人は、小さな村を出発してから数日が経っていた。彼らは広大な草原を抜け、山岳地帯に差し掛かっていた。山の向こうには古代の遺跡が広がっていると聞いており、アゼルはその遺跡に強い興味を抱いていた。


山岳地帯の谷間に差し掛かると、巨大な岩壁がそびえ立ち、狭い道が続いていた。風が強く、冷たい空気が漂っていた。谷底には古い石造りの橋がかかり、その向こうには遺跡の入り口が見えた。


アゼルたちは慎重に狭い山道を進んでいた。谷間の冷たい風が吹き抜け、彼らの衣服を揺らしていた。


「この風、すごく冷たいわ」とエレナが呟いた。


「この先に何があるのかしら。少し興味があるわね」とソリテールが冷静に言った。


アゼルは前方に見える遺跡の入り口を指差しながら言った。「あの遺跡に何か手がかりがあるかもしれない。進もう。」


遺跡の入り口に到着した三人は、石造りの古い門を見上げた。その門には古代の文字が刻まれており、魔法の痕跡が感じられた。


「この文字…古代魔族のものだ。何か重要な秘密が隠されているかもしれない」とアゼルが呟いた。


その時、突然強い風が巻き起こり、遺跡の入り口から一人の男性が現れた。黒い短髪に鋭い青い瞳、背中には大きな翼が広がっていた。


「アゼル、こんなところで何をしている?」とその男が冷たい声で言った。


アゼルは彼の姿を見て驚き、すぐにその正体を悟った。「カイル…君もここにいたのか。」


カイルは冷たい視線でアゼルを見つめ、ソリテールとエレナにも目を向けた。「新しい仲間か?どうやら君も変わったようだな。」


アゼルは冷静に答えた。「我々は新たな未来を探している。君もそのためにここにいるのか?」


カイルは苦笑しながら首を振った。「いや、私は新たなリーダーを目指している。この遺跡には、そのための力が隠されていると聞いた。」


アゼルとカイルの間に緊張が走った。ソリテールは二人のやり取りを見守りながら、エレナにささやいた。「彼らは昔の仲間だったようね。でも、今はどうなるかわからない。」


エレナは不安そうに頷いた。「争いになるのだけは避けたいわ…」


アゼルは深呼吸してカイルに提案した。「カイル、君が新たな力を求めているのなら、共に遺跡を調査しよう。互いの目的が一致するかもしれない。」


カイルは一瞬ためらったが、やがて頷いた。「いいだろう、アゼル。だが、私は私の目的を見失うつもりはない。」


アゼル、エレナ、ソリテール、そしてカイルは共に遺跡の中へと足を踏み入れた。古代の秘密と新たな力を求めて、彼らの旅はさらに深まっていった。未知の未来に向かって、一歩ずつ進んでいくのであった。

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