4 サービス過多

えーと・・・なんだっけ?

まず、ステータスを確認しろ、だったっけか。



「つーか、確認ってどうするんだ」



ゲームならコントローラーを操作するだけですぐ出るのにな。



「さて」



些か中二病チックでやりたくない部分があるけれども、とりあえず試してみるしかない。

ここに誰もいなくて良かった。



「ステータス」



何も起きない。



「チッ・・・ステータス、オープン」



面倒だなと思いながら体の前に右手をかざし、名称と、希望を口にする。

すると、目の前に半透明のディスプレイが現れた。



「ゲーム仕様だな」



というか、これはいちいち口に出さなければならないものなのか?

まあ、とりあえず今はいいけど。

今するべき事は情報の収集だ。

少し視線の下にあるディスプレイを見やすいようにするべく、手を少し上に上げると思った通りディスプレイも上に動いた。

試しに回れ右をしてみると、それは手の上に現れたまま俺の動きについてくる。

うん。融通は利きそうだ。


さて。サービスすると言っていたカミサマは俺にどんなプレゼントをくれたのか。

一番上にある名前から視線を落としていく。



・・・・・・なんか、ヤバくね?

はたしてこの数字は普通のレベルなのか。






ハルカ ツヅキ

26歳 身長177センチメートル 体重62キログラム

健康状態良好

魔力量720/720+

レベル82/100+

火80/100+

水84/100+

土80/100+

風80/100+

光95/100+ 

聖88/100+ ※治癒の力はハルカツヅキの体液にのみ反応

闇50/100

無属性100/100





「・・・無属性魔法ってなんだ」



一つだけ限界値を示しているそれが気になって呟くと、ディスプレイの右隅に四角で囲まれた?マークが浮かんできた。

・・・便利だ。要はこれに訊けという事だな。

某検索サイトみたいなもんか。


PC扱いでいいかと、新しいタブを開くと各項目の説明が出てきた。

火水風土に関しては何となく分かる。光の回復、聖魔法の浄化や治癒とかも。

つーか回復と治癒って違うのか。なになに?その人の回復力を促すのが光魔法の回復で、聖魔法を司る者の力で治すのが制魔法の治癒。なるほど?

闇と無属性・・・無属性ってなんだ。



闇魔法・・・攻撃に影を使役できる。また、高レベルになると魔獣の使役が可能。但し自分より高位の魔獣の場合取り込まれる可能性あり。


無属性魔法・・・主には結界、探索、捕縛、に有効。その場合属性魔法との掛け合わせが可能。空間魔法はレベル80以上、鑑定、変化、隠匿・目くらましはレベル40以上で使用可能。他者にかける場合は55以上のレベルが必要。


空間魔法・・・無属性魔法の一種。空間を切り取り、所有物を格納する魔法。レベルにより扱える大きさが変わる。限界値は500万立方メートル。時間経過無し。生き物収納は不可。


転移魔法・・・無属性魔法の一種。一度行った場所に転移出来る魔法。転移する距離、人数により使用する魔力が増える為注意が必要。



検索すると詳細が出てきた。マジでウ〇キペディアみたいじゃん。

転移って、マジ異世界モノって感じだな。

空間魔法は持ち歩き出来る倉庫ってことか。・・・500万立方メートルって、どのくらい?ほぼ無限?

何をそんなに入れるもんがあるんだよ。


俺は右手にディスプレイを出したまま同じ高さに左手を出した。



「あー・・・倉庫オープン・・・うわ、出たよ」



手の上に、50センチ四方くらいの、真っ黒い入口が出来た。黒すぎて奥がどうなっているのかも分からない。

こんな適当な言葉で出んのか。

開けゴマとかでも出んのかな。いちいち何とかオープンとか何だかむず痒い。

とりあえずモノは試しだ。一回閉じ・・・「クローズ」おお・・・オーケイ。

さて。



「開けゴマ!・・・出んのかよ(笑)」



これは、イメージが大事ってことか? RPGのイメージで進めてみりゃ良いのか?

それならラノベより全然親近感が沸くぞ?

さて。ゲームと同じようなもんなら、持ち物がリスト化されてる筈だ。



「収納リスト」



黒い入口に向かって唱える。

爺さん神さんが当座必要そうな物は多少恵んでくれるような話をしてたから、自分で何も持ってないことを考えれば、あるとすればここだ。

すると。



「・・・爺さん、やりすぎじゃね?」



中はとんでもないことになっていた。





持ち主・ハルカ・ツヅキ


収納リスト

大金貨500枚

金貨500枚

銀貨500枚

銅貨1000枚



貨幣だけですげえあるけど。

単位がわからん。

仮に銅貨が10円くらいだとして価値が上がるのが日本と同じくらいだとすると、軽く五百万越えなんだけど。

え?この世界インフレでも起きてんの?

大丈夫なのか?


不安になりつつ他のリストを見ていくと



ナイフ1

剣1


平民の服

ズボン10

シャツ10

ベスト10

上着3

下着セット10

ブーツ3

マント3


マジックバック1


上等な服セット2


フェイスタオル10

バスタオル10

手ぬぐい10




・・・いたれり尽くせりってこういう事かな。

つーか、平民の服、ってことは平民じゃない人もいるってことで。

うん、この辺はラノベで見たかも。


あとは・・・ありえねえもんがあるけど、普通これってしまっとくもんじゃ無くね?




小さい家

キッチン風呂トイレ完備ベッド付き




って、なんだよ!?

キッチン風呂トイレ完備って、不動産屋のチラシで見る字面なんだけど。

家ってこれ・・・ありがたいけど、サービス過多だって。

もしこれらが異世界召喚の慰謝料代わりだとしたら、これからどんだけ大変になるわけ?

もう来ておいて今更だけど、すげえ不安になった瞬間だった。

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