第8話 我が家のように落ち着く様になって来た
「こんなことあるんですね…すごく興味深かったです。
いやー、ものすごい魔力暴走でした。
パチーンと身体が弾けましたからね!」
なんでコイツちょっと楽しそうなんだよ。
こっちは意味もわからず、自分の名前さえわからず死んだって言うのに。
「簡単に言うと貴方の魔力許容量を大幅に上回る魔力が、あのヤイシャという召喚獣から返還されたために身体が耐えきれなかった様です。」
…なるほど?
「貴方はほとんど魔力を持ちません。
それは生まれ変わる前の生活を思い浮かべられれば分かることでしょう。長年使われていない筋肉の様な、代々使われないために退化した様なものです。
いや、実際は少し使われていたんですけどね。
勘とか呼ばれる未来予知とか。
でもその程度で、貴方の魔力量を分かりやすく数字で言うなら満タンで10程度です。」
…なるほど?
「召喚の能力で足りない魔力を肩代わりして強大な召喚獣を喚び出しました。
さすが神の与えし能力ですね。
本来は到底喚び出したりできないものですが、喚び出せてしまった。
そこまでは問題なかったのですが、そこからです。
喚びだされたヤイシャの思考を私が読んだ結果、彼の善良さが裏目にでた形となります。」
ヤイシャ…あの荘厳さでカッコよくて、神様レベルからみても善良なんだ…。
召喚獣になってほしかったな…。
「彼は召喚に使用される莫大な魔力を知っていました。
本来召喚に使用される魔力は、術者の実力を見せつけるためと喚び出させられる召喚獣への報酬となります。
面接の交通費みたいなものですね。
なので返還する必要はないのですが、彼はこう思いました。
『自分の名前もわからない年端も行かぬ子供が徒らに呼び出してしまったのだろう…。
かわいそうに…。』
なのでせめて召喚分の魔力を返還しようと思った様なのです。
もちろん彼の優しさです。」
ヤイシャ…。
出来た犬?馬?だぜ…。
「年端も行かない?僕はもう成人ですよね?
前世はともかく生まれ変わった後の手の様子とかは、大人の手に見えましたが…」
「えぇ、18歳程度になるように生成しましたので、成人ですね。
しかし貴方は別の生き物の年齢を正確に分かりますか?
学者ならまだしも、蛇とか鳥の年齢を当てられることはないでしょう。」
たしかになぁ…大きさだって小さい種類とかもいるだろうしね。
つまり歳の頃はわからないけれど、自分の名前がわからないくらい幼い子供だと思われたんだ。
なんか悲しくなってきた。
「それで、彼は良かれと思って返還したのですが彼を喚びだすための魔力が、まぁ莫大だったために返還された魔力に耐えきれずパチーンと弾けてしまったと言うわけですね。
しかし…理知的で善い心をもった生き物でしたね。
長いこと生きていて罪も犯していないので、神格を得るに相応しいと言えるでしょう。
彼を神獣格にあげましょう。」
自分の名前が分からないばっかりに…ごめんな、ヤイシャ。
でもなんか出世したみたいだから許してくれ、ヤイシャ。
あ、なんか神様が薄っすら光ってる…。
いや、でも誰が覚えれるんだあんな名前
「ラルフィード・サシュマジュクシュルルペペペぺ・チャチュムラッチャヌボンボですよ」
やめて!
発音もなんだか気持ち悪いんだよそれ!
パ行を4つも重ねるなよ!
「ラルフィード・サシュマジュクシュルルペペペぺ・チャチュムラッチャヌボンボです。」
やめてよ!
音が文字になって頭に入ってこない…
「でも、きちんと名前を覚えられたらヤイシャを召喚獣に出来るんだよね…。
きちんと教えてください神様。
頑張って覚えるよ、僕。」
「えぇ。
馴染みのない名前は覚えるのが大変でしょう。
一緒に頑張りましょうね。
しかし、もう一度ヤイシャを喚ぶことは出来ないと思いますよ?」
え?なんで?
「一度与えた能力と同じものは二度と与えられないのですよ。
そしてたった今、彼を神獣格に上げてしまったので、どんなに鍛え上げられた人間でも喚ぶことは出来ません。」
最初に言えよそんなルール!
絶対名前覚えないからな!
「はぁ…。
そういえば、ちなみにヤイシャを喚びだすための魔力っていくつくらいだったの?
僕の魔力が10だとしたら」
「2億です。」
そりゃ爆発もするわ。
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