第6話 また召されましたね、また

そう、また死んだらしいのである。

初回は15秒

2回目は17秒

なんとなんと今回は7分6秒も生きていたのである。快挙だ。


んで、死因はなんだったの神様。


「大砲の様なものをしこたま撃たれたようですね。

今回は考える時間が7分もあったので私も考えまして、こんなものを用意しておきました。」


そう言って神様は何もない空間に四角い窓のようなものを出した。


「ここに死因が写ります。使いやすい様にサービスでコントローラーも付けたので、自由に視点を操作してみて下さい。地球で人気のあるゲームハードの物を模してみたので、使いやすいと思いますよ。」


キルカメラだ…。

転生して一番最初にみた魔法的なものがキルカメラなんて…。


ありがとうございますと言うところだか、つい了解した!と言ってしまった。


映像を見てみようとコントローラーを握ると、すごく手馴染みが悪い。ドリームキャストのコントローラーなんて初めて触ったよ。


「おや?なかなか普及してた上に名前に夢とついていたのでこれにしたのですが、さては前世は貧しかったのですね?よかったですね!死んでからでも触れることができて!」


コイツ…。

夢とついているが散ったタイプの夢だ。

例え石油王だったとしても手を出していない!


左スティックでカメラ移動…

右スティックないのか!

真ん中の十字キーで視点移動…うぅ…やり辛い…

はいはい、トリガーでズームインアウトね

なんで並列にトリガー並んでるんだコレ。


慣れないコントローラーに悪戦苦闘しながら、なんとなく死因がわかって来た。


怖すぎたのだ。

僕が。

まず信じられないほどムッキムキの上裸で、下半身が黒のブーメランパンツ一枚だった。


「神様、これ、この時の僕って身長どのくらいあるの?すごく…デカくない…?」


「452cmです。」


452!?


怖…。パワーが人間辞めてたのは認識してたけど、もう怪獣じゃん。なんでそんなおっきくしたのさ…。


「いやぁ…地球にいる筋骨隆々な男たちを模した服装を用意したりなかなか骨が折れましたね。


ここまでの力を搭載するにはこのくらいの骨格が必要だったんですよ。

一対一の力比べで負けることは絶対にないです。」


なんて達成感に満ち溢れた顔をしている。

パンツ一枚用意しただけなのに。


そんな馬鹿でかいほぼ全裸スーパームッキムキ男が全力疾走してくるのだ。

恐怖でめちゃくちゃに攻撃して来ても不思議ではない。

そして映像にはさらに、右手で大砲の弾を受け止めてつかみ、ニヤリと笑う僕も写っていた。


後ろからドラゴンでも来てるかと思い相当焦っていたので、ここら辺の記憶はないが、おそらく誤射したものと勘違いをして危なかった〜と苦笑いでもしたのだろう。


大砲の弾をカトンボを払う様にペシペシと弾きながら、走る僕にさらに喧騒は広がってゆく。


そんななか、白髪の男性が白く燃える棒を掲げ、その周りでローブの人達が手をかざしその炎を大きくしていた。


魔法だ…!

魔法がある世界だったのか!


更に白髪の男性が人差し指と中指をたて何かを叫ぶと大きな鳥が現れた。


召喚だ!

召喚もあるのか!


ウキウキしながら召喚された鳥をあらゆる角度から見ていると、その鳥が棒の燃えていない方を掴み飛び立った。


かっちょいい…

次は召喚がいいな!


なんで思いながら鳥を追うと、丁度ムキムキの僕の真上で棒を落とした。


棒が僕のやや前に落ちた瞬間大爆発を起こし、ちょうどカメラの前をぐちゃぐちゃになった肉片が飛んでいった。

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