10月26日(金)(31日目)
学園祭前日。女装ミスコン二日前。それが今日である。
そして昨日から強制ダイエットを始めてだいぶ辛くなっているのが今である。不幸中の幸いというか先日の本当に何も食べるものがなかった先日と比べればだいぶ温情があった。倒れない程度のカロリー摂取は許されているから死ぬことはない。キャベツだけなら好きなだけ食べて良いと許可ももらっている。おかげで我が痩身はビタミンCと食物繊維に溢れている。キャベツだけを摂りすぎて食傷になり、油ものを身体が欲するようになってしまっている。
ここ最近我が胃袋を甘やかす機会が多かったゆえに殊更辛い。何も知らなかった頃ならば我慢できたが、生活レベルを上げてしまったがために元の生活に戻れなくなってしまった。滅茶苦茶ささやかな贅沢でしかなかったのに、その一歩が命取りであった。一回だけなら大丈夫とかいって勧めてくるイケないお薬と一緒である。依存性が高くてどうしようもない。
腹立たしいのは依存していないのにこうして治療を強制されている点だ。ちょーっとお腹がふくよかになっただけである。むしろ、そっちの方が健康的ですらある。肉付きの良い女の子の方が好きだという層もいるのだからそのぐらいいいではないか。
残念なことに恋する乙女は完璧主義であった。乙女と呼ぶには耳に飾り付け過ぎな気もする。年のことは言わないだけ情けはある。
これだけ辛い思いをしているのだからミスコンまでには間に合って欲しい。そうミスコンさえ乗り切ってしまえばあとはハッピーしかない。だから頑張れる。何故って? 後夜祭に麗しの君を誘うことに成功したのだ!
先日、親父とともに警察にドナドナされたキッカケを作ってしまった麗しの君は申し訳無くなったらしく何か謝罪させてくれと頭を下げられた。なんとも殊勝なことである。ドナドナされてもなお、からかってきた我が学友どもにも見習って欲しい。
そこでこの好機を逃さんとばかりに後夜祭に誘ったのだ。がっつき過ぎだと笑われてもいいとばかりに前のめりだったことは認めよう。みっともないと笑われて然るべきである。
だがそれでも!
機会を得たことは褒められるべきだろう!
世界はこの俺を称賛し、祝福するべきでろう!
灰色の青春よさらば!
いざ薔薇色の青春よ!
しからば倒錯した桃色の日々へ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます