余命宣告 ~感情的になる君へ~

@Fukuoka_chugakusei

これは俺が経験した最初で最後の物語である。

第一章『中学の時の出会い』


2015年4月8日ここ私立鎌倉中学校の入学式の日である。この年でこの学校は100周年を迎える。つまり僕たちが100期生ということ。僕(石川朝陽)は小学校の頃暴君で学校に来ては1日1回は喧嘩をして相手の顔面をボコり、数枚のガラスを割っていた。そのせいか陰ではキレ章石川などと呼ばれていた。小学校の反省を生かして僕は中学校で更生するつもりだ。でも、そう上手くはいかなかった。 グチャ!ゴリ!バリーン!!殴る音やガラスを割る音などが教室中に響く。"俺"は感情的になっておりその音が全く自分の鼓膜に響かなかった。ただただこいつは"俺"をバカにして弄んだ。2ヶ月も。周りはただ"俺"を止めるだけだった。「もうやめろって!石川!そいつ死んじゃうよ!」「おい!落ち着けって!」「おい!」そんな声が響き渡り喧嘩は収まった。だが心当たりがあった。クラス全員が俺を止めていたわけではない。一人、一人だけ動揺もせず喧嘩している俺を見つめているだけ。気になった俺は見つめていただけの高岡に聞いた。「おい高岡。お前なんで俺が喧嘩しているのに一緒に止めなかったんだ?」と聞いたが「さぁ?」 と返すだけ、その威勢の良さに俺は高岡を尊敬した。話がよく噛み合うので次第に友達になっていった。話している途中に俺は「ちゃんと俺が聞いた質問の答え用意しとけよ!」と言った。


第二章『余命宣告』


しかし高岡は変わっていた。動揺もせず、俺が一番引っかかったのが時間になるとその時間に帰るのだ。3時半丁度に。なので俺は高岡を追跡した。高岡は細道を何回か通っていき、次第に大都会に出て行った。行先は大学病院しかもこの県一番の。この病院に何があるんだ?と疑問が浮かび、高岡のところへダッシュで向かっていき、問いかけることにした。高岡は「ちょっと俺、病気で、」と答えた。 そしたら「ついて来るかい?」と言われついて行った。 大学病院は小さな頃に入ったことがあるが、その記憶がないため俺は驚いた。そして高岡の番号がやってきた。診察室に入る。事前に検査をしていたので今回はその結果である。医師が言った。「すみませんが高岡さん。」2人は唾を呑んだ。「余命3ヶ月です。」えっ!、そんな言葉が映画館並みのボリュームで声に出た。「嘘ですよね?」「高岡が死ぬまで3ヶ月?本当ですか?」「すみませんが、本当です。」「もうどうにもならないんです。」石川は猛然とした。そして「嘘だろ!嘘だ!嘘だ!うぅぅぅそぉぉぉだぁぁぁ!!!!!!!」石川の大きな声が診察室中に広がる。「石川さんの気持ちはわかります。」「しかし高岡さんの体の中の膵臓に癌が発見され、発見したときにはもう手遅れでした…」そして石川が「もうどうにもならないんですか!」医者が気まずそうに「はいっ、」と言う。それを聞いた石川が診察室を飛び出した。「石川!待って!」僕は石川を止めようとしたが手遅れだった。僕はそこら中を探したが石川はいない。次第に雨が降ってきた。ビルの巨大テレビに天気予報が映し出された。「今夜、南関東を中心に激しいゲリラ豪雨が見舞われます。気をつけてください。」それを聞いて俺は大きな声を出しながら石川を探した。


第三章『しょうがないこと』


ザザーッ!!ゴロゴロ!!激しい雨が俺の体を攻撃する。 そしたら高岡がビショビショになって俺のところに来た。 高岡が言う。「あのさ石川。」「しょうがないことなんだよ。」「だからさ、残り限られた時間を楽しく過ごそうや。」「でも!」石川が言う。「3ヶ月後。もうお前はいない。俺はその時からどうやって。」高岡が言う。「あのさ石川。俺が死ぬからって俺は完全には消えることはないよ。」「どういうことだよ?」「お前が俺の意志を引き継いでくれることで俺は生きている。もちろん引き継がなくてもそこにはその人の思いというものが宿っているんだよ。」石川が顔をあげる。「わかったよ。じゃあ残り限られた時間を楽しもう!」「その意気だよ!」


第四章『限られた楽しい時間』


2015年5月12日ネズミーランド 靴で滑り込み、バランスを取っている石川が「楽しもうぜ!ネズミーランド!」といった。高岡が「まず何に乗る?」と言う。「お前が決めろよ!お前のために来たんだから。」高岡が躊躇う。「うーん、じゃあジェットコースター!」「そうこなくっちゃ!」石川と高岡がジェットコースターに乗り込むと石川は早くも顔が真っ青になった。「お、おい!ちょっと怖くない?」と石川が言う。高岡が「ったくー!石川お前ビビってんの?」と言う。「は、はあ~!!ビビってねーーし!お前がシャシャリ散らかしてジェットコースターから落ちたらって考えてただけだし!」「お前は俺のことを何と思っているんだ?」ジェットコースターが動き出す。ガキャ!ウィーンという音につられて石川が悲鳴をあげる。「いやぁーぁーぁーぁーぁー!」その後はとにかく楽しんだ。楽しんで楽しんで楽しみまくった。高岡が「お前のお陰で今日は楽しかったよ!ありがとう!」「別に!お前のためにやっただけだし!」すると高岡が「僕はこういう遊園地の仕事みたいなのが夢なんだよね!」と言い、石川が「へぇー」と言った。そして帰宅の時間になった。2人が同時に「「じゃあな!」」といった。


第五章『さようなら』


ネズミーランドで遊んで数日後。高岡に変化が起こる。「うぐっ!」という声につられて高岡が地面に倒れた。親が救急車を呼ぶと、意識不明の重体で病院に運ばれた。その日は石川は親から雨がとんでもなく強いので外出を控えめにと言われたのである。高岡が倒れたことを知った石川は走って外へ出ていった。傘を持たずに…。石川が外へ出ると周りのあちこちに倒れている家がところどころに見える。だが石川は走った。途中で転んで、捻挫しながら走った。涙ながら走っていき病院に着いた。医者に現状を聞くと、もうまもなくだと…。石川は高岡のところへ走る。そして見えたのは、意識不明の重体で寝込んでいる高岡。石川は高岡の上で叫ぶ。「高岡!高岡!高岡!高岡!」そうすると高岡が無理矢理目を開ける。そうすると高岡が「"おまえ"にはなさきゃいけないこ…と…がある。」「なんだよ?」と泣きながら石川は問いかける。「あの時の質問…の…答えは…と…も…だ…ち…だ…か…ら…」と泣きながら高岡は言って目を瞑った。それと同時に心電図のピーという音がなる。石川が「高岡ぁぁぁぁぁぁぁ!」と叫んだ。 享年十二歳 2015年5月17日 19時24分 逝去


第六章『その後』


ネズミーランド 「高岡、お前の夢叶えたぞ!」俺は頭の中で思った。高岡、天国でもお元気で!


このエピソードはフィクションです。

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