第2話 トイレにて
公園のトイレに行ったとね。
昼間だったけど中は薄暗くて、怖いな~と思いつつ腰を下ろしたと。
そしたら目の前が急に真っ暗になったとよ。
ブレーカーが落ちたん?誰かが電気を消したん?とにかく怖いっちゃけど
て、思ってたらなんだか気配を感じたとね。
変質者に覗かれてるかと思ったけどなんだかそんな気配でもないんよね。
いやらしい感じじゃなくて、例えるなら、だれもいない森の中にぽつんと井戸があって、中を覗いたら底が全然見えなくて、真っ暗な穴だけがある。その穴の奥の奥の奥から何かがこっちを見てる。そんな気配を。
じゃなくて、違うくて、トイレじゃなくて、目の前が真っ暗じゃなくて、
私が井戸の中にいた。
真っ暗な井戸の底に。
私は見ている。ずっと。
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