おいっ枕池!それで売上作れるのか!?

大造

プロローグ


「バカヤロッー、何回同じ事言わせてるんだよ!お前はダンボール売って飯食ってるのか!?」


 開店前の静寂を切り裂くように店長の怒号が響き渡る。


「すいません、今からやろうかと・・・・・・」

「それじゃ遅えんだよ!売場が命なんだよ、優先順位の話を何百回すりゃいいんだよ!分かってんのかー?」

 今更誰も見向きもしない、毎朝のこと。


「鮮魚ー、ブリが出てねぇーぞ!開店までに売場ビッチリ埋めとけ」

 はいっ!

「肉ー、そこのケースの肉がドリップしてんぞ!ちゃんと見てるのか?さっさと下げろー、バカヤローが、いそげ、いそげ!」

 はっ、はいっ!


 一旦怒号が響き渡ると、店内の空気はそれはもう張り詰める。

 少しでも、ぼぉーっとしていようものなら・・・・・・。

「どぅぅぅぉらぁぁぁぁ!!!」という過去の人生の中で全く味わった事のない恫喝を受ける。

 パワハラ?モラハラ?

 そもそもハラスメントなんて言葉は、うちの店には存在しない。

 

 苦痛なら?どうぞお辞めなってください。どうぞ、どうぞ。


 時は令和、ここは昭和。

 知恵と勇気と忍耐力で、近隣競合店に立ち向かう。それが我々神奈川のローカルスーパー『クロマル』。


 100年の歴史と伝統を後世に伝えるスーパー『クロマル』。


 さあ、いよいよ開店でございます。

 朝早くからのご来店、誠にありがとうございます。

 どうぞお買い物をお楽しみくださいませー♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おいっ枕池!それで売上作れるのか!? 大造 @IRODORInoSATO

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ