遠いキミに逢いにきた。
寅次郎
第1話
三連休の土曜日の渋谷の込み具合と言ったら並じゃない。
きっと上から見たらスクランブル交差点の信号待ちの様子なんて「人混み」というよりは「異様」という言葉の方が説得力を持たせるだろう。季節はまだ梅雨といえど、7月に入り湿気と高温で少し歩いただけで汗ばむ。
渋谷にはいろいろな娯楽施設がある。無いものから数えた方が早いくらいだ。
確かヘルス嬢にゴムなしでやったら性病移されたのもここ渋谷だ。
俺の地元が渋谷から3駅だから、渋谷には本当にガキの頃から遊びに来ている。
いちばん最初の渋谷の記憶と言えば、迷子だ。
欲しいおもちゃを買ってくれなくて、ダダをこねていたら置いていかれたのだ。
泣いた俺はハチ公前の交番に助けを求めた。すると警察が「名前は?」「家の電話番号わかる?」
の問いにキセキ的に答えられ、警察が家に電話してくれて母が迎いに来てくれて事なき得たという記憶で始まっている。
そんな俺は星川健太郎25歳。
職業はクラブDJをやっている。
クラブに行く途中、何度職務質問されたかわからないくらいだ。
100回は行ってんじゃないかと思うほど。
最近では顔を覚えられて顔パスできるようになってきた。
嬉しんだか、悲しんだかわからない。
この日も仕事で渋谷に来ていた。
クラブに行く前に腹が減ったからマクドナルドでバーガーセットをテイクアウトして、外で座って食べた。なんんとなく三連休の夜の渋谷の景色を見ながら食べたくなったのだ。
バーガーを食べ終えた俺は、タバコに火を点けた。
食後のの一服は美味い。そして俺の仕事場「クラブエンジェル」に入った。
もうクラブは盛り上がっている。みんな各々で楽しんでる。
腹まで響く低音がたまらない。
別のDJが回している。勉強になるからどうしてもDJばかりりに目が行ってしまう。
職業病だ、仕方ない。
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