【悲報】NTRエロゲの主人公に転生した俺、初手で悪役王子をぶっ殺してしまう
にこん
第1話 転生、そしてタクト
やっちまった。
俺は目の前に広がっている血の海を見て少しの後悔をしていた。
人が死んでる。
死んでいるのは隣の国の王子様のタクト。
もちろん、俺が殺した。
でも言い訳させて欲しい。
これは正当防衛なんだ。
話は数分前に遡る。
抜きゲー【快楽に溺れる王女】というNTRエロゲーがあった。
俺が前世でこよなく愛したゲーム。
主人公はオルガルド王国の王子様。
ヒロインは隣国の王女アリシア。
もちろん、2人は交際関係にある。
いずれ結婚することになるだろうと言われているほどの幸せな関係……だったんだけど。
そんな2人に魔の手が忍び寄る。
それが隣国の王子のタクト。
これが主な登場人物。
原作主人公は少しナヨナヨしていて情けない感じの王様だった。
はっきりいって情けない。男気がない。
見ていてイライラする、心優しいだけのいわゆる優男なんだよな。
そして、ストーリーはこうだ。
そんな原作主人公にアリシアはじゃっかん不満を持っていた。
そこにオラオラ系のタクトがやってきた。
そして、オラオラ系の少し強引なタクトに引かれていき……アリシアは快楽に溺れていってしまい。
最後は主人公の知らないところでタクトの子を孕むというゲームだった。原作主人公は気付いてたんだよね、孕んでるのは自分の子供じゃないって。でも心優しい主人公は気付かないフリをして産ませて育ててた。
バカだよね、一言で言って。
でも、俺はこのゲームめちゃくちゃ好きなんだよ。
どれくらい好きかっていうと俺の死因になるくらい。
俺の死因だけど、テクノブレイクだ。
バイアグラ飲んで一日に45回、アリシアでいたしてテクノブレイクで死んだ。
それが原因でこの異世界に転生したんだ。
それくらい好きだったんだよ。
で、いざ転生したのが原作主人公だった。
つまり寝盗られる側なんだよね、俺。
名前はオルクス。
初めは「よっしゃっ!」て思ったよ。合法的にアリシアとやれるもん。
でも、そんな俺たちの恋路を邪魔するように現れたのがやはりタクトだった。
本日はタクトが我が国に遊びに来ていた。
アリシアはいなくて、2人で会話をしていたんだけど、タクトの言葉がムカつくのなんの。
『アリシアちゃんはかわいいね。君にはふさわしくない』
とかって普通に言ってくるんだよ。
呆れるよね。
お前にアリシアの何がわかるんだよ、と。
俺以上にふさわしい男なんていねーだろ。
問い詰めたい。聞きたいんだ。お前はアリシアが原因で死ねるのかと。
答えは、NOだろ?
アリシアひとりでテクノブレイクする男なんて世界中、いや宇宙を探しても俺くらいだろうが。殺すぞチンカス野郎。
小一時間くらい問い詰めたい。
誰がアリシアを1番愛しているのか。
お前と俺、どちらの愛が重いのか。
アリシアのために幾億の
その覚悟がお前にはあるのか、と。
答えはNOだろ?
俺が内心でくっそキレ散らかしてるところに奴はまた爆弾、いや原爆を投下してきた。
『ところでアリシアちゃんとはまだ婚約してないんだよね?なら僕が結婚しようかな。君から奪ってあげよう』
なんてセリフを吐かれて俺はブチ切れたんですわ。
『ぶっ殺すぞ!チンカス野郎!』
で、気付いたらこの状況。
俺は血の海に立っていた。
目の前ではタクト死んでる。
何が起きたのかは分からなかったけど、俺が殺したのは間違いないだろう。
だって拳に血が着いてるもん。
ってわけで、俺は宣言通りばっちりタクトを殺してしまった。
話は現在に戻る。
もちろん、タクトはひとりで来た訳では無い。
お付と共に我が国にきた。
間の悪いことに今はそのお付がタクトの近くにいたのだ。
俺がタクトをぶっ殺すところをばっちり見られている。
「オルクス様。なにをやったのか分かっているのですか?」
お付が話しかけてきた。
先に言っとくけど、今の俺は脳みそバグってると思う。
「愚問だな。見て分からんのか?タクトを殺した。雑魚だった」
なんてことを普通に言えるから。
誤魔化すことなんて考えられなかった。(誤魔化しようもないけど)
「国際問題にしてもよろしいということでしょうか?」
「もちろん、構わん。どうぞどうぞお好きにどうぞ」
お付は困惑していた。
「どうして、そんなに堂々としているのですか?」
しばらく考えてみた。
たしかに、なんで俺はこんなに堂々としているんだろう。
人を殺したのに。
考えてみても
「分からん」
だが、ビクビクしていても仕方がないだろう。
それなら堂々としている方がましだ。
むしろ、堂々を通り越して高圧的に行くか。
高圧的に行った方がこちらに有利に働くかもしれない。
これは俺の自論だけど、物事ってイケイケで行ったほうが上手くいくんだよね。
「早く帰って国際問題にしろ」
「わ、分かりました」
逆に向こうが挙動不審になっていた。
「ちなみにそちらの国は具体的にはどのような対応をするつもりかね?」
「王子様の殺害になりますので最悪オルクス様の処刑を求めるでしょうね」
「もちろん、俺は抵抗するぞ」
「では戦争をなさると?」
コクンと俺は頷いた。
「他の王族の方々があなたを切り捨てる可能性は?」
「はっ。愚問だな」
「そのときはどうなさるつもりですか?」
「もちろん、1人でも戦争をする。どちらかが倒れるまで終わらない。徹底的に戦争だ」
「それは楽しみですね。ひとりでどうやって戦争をするのか」
お付は興味深そうな顔をしていた。
「最後の質問になりますが、謝罪の言葉などはないのでしょうか?」
「うるさいぞ。くどい。とっとと消えて国際問題にしろ」
「やれやれ、逆ギレですか」
別に切れてるつもりは無いんだが、まぁ逆ギレに見られても仕方ないか。
でもさ。よく考えてみようよ。
これ、このまま帰らせていいのかな?
(こいつも殺して隣国の対応を遅らせるべきでは?)
王子を殺してしまった以上、お付をもうひとりおかわりしても罪の重さは大して変わらないだろう。
(なんなら戦争して俺が勝てば罪も帳消しになるし、実質無罪で殺人できるようなものでは?)
うん、そうだな。
殺しておこう。
「おい、お付。最後に言いたいことがある」
「なんでしょう?」
「特に恨みは無いが死んでくれ」
「え?」
メキョッ。
全力で殴るとお付の顔面が吹き飛んだ。
理不尽?
傲慢?
無慈悲?
王族が理不尽で傲慢で無慈悲で……
なにが悪い!!!!!!
褒め言葉にしか聞こえんなぁ。
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