転生日記

甲羅に籠る亀

第1話 

日記1ページ目

今日は五歳の誕生日に両親からプレゼントをもらった。

貰った物は魔道具の日記帳だ。

日記帳の名前はページ増加の鍵付き日記帳。

ページ増加の鍵付き日記帳

魔力を使用する事でページを増やし、最初に書き込んだ者以外は誰も読めない日記帳。

これが今世の父親から聞いた魔道具の日記帳の能力だ。

これから俺は何かあったら、この日記帳に書き込んでいこうと思う。

そして今日のメインは誕生日ではない。

メインはギフトと呼ばれる力だ。

5歳、10歳、15歳で手に入る特別な力で、異世界の地球では誰もがその年にギフトを手に入れる事になる。

俺も5歳の誕生日にギフトを手に入れた。

それは治癒魔法だ。

5歳の時に手に入るギフトは両親が持つギフトかギフトの強化版。

この治癒魔法は父親のギフト回復魔法の強化されたギフトである。

ギフトを手に入れれば、使い方は誰に教えられなくても理解できる。

治癒魔法の場合だと、まずは治す相手の状態を診断する魔法が発動し、診断相手の状態を理解すると、その相手に合わせた魔法の使い方が脳裏に浮かぶのだ。

他にも体内に入り込んだ異物や細菌、病原体などの除去や身体の歪みや調子を最適な状態に治すことも出来る。

これが手に入れた俺のギフトで、早速ギフトの治癒魔法を自分に使ってみれば、診断で身体の歪みや初期の虫歯を発見することになった。

診断結果を元にして治癒魔法を使い、身体の歪みを治せばなんとなくだが変わったような気がしたし、初期の虫歯は虫歯があることすらも理解していなかったのでよく分からなかった。

治癒魔法を授かったことを両親と姉に伝えると、家族は喜んでくれた。

特に姉は母親のギフト由来のギフトだったからか、父親は息子の俺が父親由来のギフトを授かったことが嬉しかったようだ。

家族にも俺自身で試したように治癒魔法を使って診断すれば、回復魔法では治らない身体の歪みや虫歯などの症状に気付きにくい病気には罹っていたが、癌などの大病には罹ってはいなかったのは安心した。

前世の記憶があっても今世の家族は大事だから。

そして、ギフトを授かったことで今世の目標を達成することも出来そうだ。

この世界ではギフトの他にも前世の地球とは違うことがある。

それは天のタワーと地のアビスだ。

ノストラダムスの大予言があった1999年7の月、空から恐怖の大王が来るだろう。アンゴルモアの大王を蘇らせ、マルスの前後に首尾よく支配するために。

と言う予言があった年の月にこの天のタワーと地のアビスが現れたのだ。

天のタワーと地のアビスが現れた当初、それが現れる前の地域が消えてしまったことやステータスの出現を騒がれたが、それもすぐになくなったそうだ。

天のタワーと地のアビスから大量のモンスターが現れたせいで。

これを契機に人類の人口は一気に減り、天のタワーが出現した日本もそれは例外ではなかった。

それから人類は現れたモンスターから土地を取り戻し、天のタワーと地のアビスに潜入したそうだ。

天のタワーと地のアビスの内部は別の世界が広がっていたという。

そうして人類は天のタワーと地のアビスを探索する事になり、天のタワーと地のアビスから地球はない素材や物質を得て、それをもとにして発展した。

そして、天のタワーと地のアビスに入り探索する者を探索者と呼び、俺はその探索者になりたい。

そうすれば強くなり前世のような最期を迎えることはないだろうから。

あの最期の死ぬまでの間を今でも夢で見る。

老人が運転する車に轢かれ、ガードレールに衝突し、車とガードレールにぶつかった身体の痛み、ガードレールに背中を預けた俺に迫る車、ガードレールと車に潰れていく身体に、タイヤに巻き込まれた足が引き千切れる感触、そして身体がどんどん寒くなっていく感覚は未だに忘れられない。

だからこそ、今世は強くなり死なないようにしたい。

それに天のタワーと地のアビスなら人の寿命や老化をなんとかする様なアイテムもあるかも知れない。

それさえあれば寿命での死や老化での苦しみを味わうことはなくなるだろうから。

目的は言わないが昔は探索者だった父親に探索者になりたい事を伝えれば、父親からは誕生日プレゼントとは別に3冊の本を貰った。

この貰った3冊は教本の様だ。

1冊目は身体操作基礎、2冊目が歩行法基礎、3冊目は生命力・魔力・霊力基礎という教本だ。

3冊の教本は父親が日本にある天のタワーを攻略していた時に宝箱から手に入った物だと教えてくれた。

この教本に書かれている内容を理解して実践すれば、教本に書かれていた技術を取得することが出来るそうだ。

父親も教本を読んだお陰で探索者としてやっていけたのだと言う。

教本を読んで父親に色々と教えて貰いながら実践すれば、教本に書かれていた内容の技術を取得することも出来るだろうが、父親は生命力・魔力・霊力基礎の教本のうちの霊力だけは練習しても分からなかったそうだ。

だから、俺が霊力を使える様になるには自分だけで練習しないといけないだろう。

けれど、本来なら教本には1番重大な問題があった。

それは教本に生命力・魔力・霊力のいずれかを流し込まないと読めないと言うことだ。

この問題を解決しないと教本を読んで理解することが出来ない。

しかしこれにも裏技のような物があると父親に教わった。

それは俺の場合だと治癒魔法を使うことだった。

そうする事で治癒魔法に使用される魔力が教本へと流れることになり、その魔力のお陰で教本が読めるようになるのだと言う。

だからこそ、姉のギフトが農業や畜産業に関するギフトの大農家というギフトの為、この裏技を使うことは出来ないから教本のことを父親は言わなかったのだろう。

現に姉は俺だけが教本を読めることが不満なようだが、そこは父親が生命力や魔力に関して教えてくれるだろう。

だから俺はその間に教本を読み込んで少しでも早く教本に書かれた内容の技術を取得するのに力を注いでいこうと思う。

幸いにまだ小学校に入学するまで1年の時間がある。

出来れば、それまでに小学校での授業中に静かに周りの迷惑にならない技術の練習法を見つけなければならない。

そうしないと絶対に暇だろうから。

一応だが高校までの知識のある俺に小学生のそれも一年生の勉強なんてやってられないからだ。

まずは治癒魔法を使わずに教本を開いてみたが、その教本には読めない字で文章が書かれており、他にも絵が書かれていると思われる部分は白紙の状態だった。

裏技の治癒魔法を使って今度は教本を開いてみれば、先ほどと文字は同じなのにも関わらず、何故か俺の頭にはその文字が読める文字へと変わっていた。

今なら姉にも文字が理解することが出来るのではないかと思ったが、どうやらそう単純ではないようで姉には教本を読めなかった。

父親が言うには生命力、魔力、霊力を教本に流し込んだ本人ではないと意味がないそうでだからこそ教本を読んだあとは売りに出されたりもするそうだ。

それに教本自体は高値で取り引きされているそうで、この3冊を売れる所に売ればそれなりの値段で売れるという。

なんで父親はこれを売らなかったのかを聞けば、この3冊は探索者にならなくても充分に使えるからだと言われた。

確かに普通に生活するだけでも生命力・魔力・霊力基礎の教本以外の教本の内容は使えるだろう。

1日で読み切れるほどのページの教本だが、流石に1日読むだけで理解するほど頭の出来が良くない俺では分からなかったが、これから1年の間にある程度理解することが出来るようにこれから精一杯頑張っていこうと思う。

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