第2話 大事なこと

物心ついた頃から楽に食べ物も与えてもらえず


毎日苦しい思いをして必死に生きていた


できることは弟を守ることくらいだった


僕が物心着く前まではみんな仲良かったと母からは聞くが


それが本当とは思えない


何があってこんなことになってしまったのか疑問でしかないのだ


父は毎日酒、タバコ、ギャンブルに溺れていたが


母はこの時の僕らからすれば優しい人だった


父に散々殴られたあとは別室で少量ではあるがパンをくれた


母がいなければ今頃僕も弟も死んでいただろう


でも今思えばあれもそのためだったのだろう


そんなある日の夜父と母が車でドライブに行くとのことだった


もちろん父と母の関係も良い物ではなかった


母も僕たちを見捨てるのだろうか


もうどうしようもないのだろうか


そして母が家を出る時幼い僕の前にかがみそっと耳打ちした


よくわからなかった


わらべの子に気をつけて」



母に聞こうとしたが母はもう父といなくなってしまっていた

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