第7話 行きたいの!


真由美のお陰で助かったけど。

実際は本当に怖かった。

本当に怖かった。

瀬古くんとかに何か言うのは苦手だから。

彼は上の存在だから。


「一緒に帰ろう。瀬奈」

「そうだね。真由美」


あれから瀬古くんもそうだが山辺くん達も何も言わなくなった。

私はその事に少しだけ安堵したのもある。

真由美には感謝だ。


「ねえ。瀬奈」

「うん。どうしたの」

「貴方は好きなんだよね。彼が」

「...うん。好き。大好き」

「そっか。彼のどんな所に惹かれたの?」


真由美は素直に真っ直ぐに聞いてくる。

私はその言葉に「それは彼の純粋さかな」と赤くなりながら返事をした。

そんな言葉に真由美は「そうなんだね」と笑顔になる。

真由美はあくまでギャルだけど。

私にとってはとても大切な親友だ。


「ギャラクシー・オンラインで知り合ったんだよね?確か彼とは」

「そうだね。ギャラクシー・オンライン。...彼、ギルガメッシュ777さんっていう人なの」


そう会話をしながら私達は下駄箱に向かう。

昇降口に着いてから私は下駄箱から靴を取り出しながら考える。

今日は彼。

つまり雄太くんは忙しいらしい。

だから帰っている。


「瀬奈。絶対に彼を諦めないで」

「真由美?」

「彼は多分良い人だと思う。彼は純粋ってのは間違ってない」

「...真由美...」


私は衝撃を受ける。

真由美がそんな事を言うとは思わなかった。

そう思いながら衝撃を受ける。


すると真由美は「...瞳で感じたから」と言う。

私はその言葉に「...」となって俯いた。

それから顔を上げる。


「真由美」

「何。瀬奈」

「私さ。貴方と友人で良かった」

「...そう?」


真由美は驚きながら苦笑する。

すると真由美は私を抱きしめてきた。

それからヨシヨシしてくる。

そして笑みを浮かべた。


「全く。可愛いよ。瀬奈は」

「もー。子供じゃないよ私」

「いや。それでも可愛い」


そんな感じで私達は会話をする。

すると真由美は「ワック寄って帰ろう。久々に駄弁りたいし」と笑みを浮かべる。

私は頷いた。


それから外に出てから私達はワックに向かう。

正直言って。

とても幸せで。

暖かい気持ちが胸を包んでいた。



今日は用事がある。

その為に...俺は瀬奈と別れた。

それから自宅に帰ると。

天がよそ行きの格好をしていた。

何をしている。


「お兄。今日は確か特別な美少女フィギュアの発売日だよね」

「何故それを、というかそれで何なんだ」

「私も何かしらアニメグッズ。フィギュア買いたいから」

「え?」

「だから私も行くって言っている」


そう言いながら俺を見る義妹。

アホかコイツは?そんなよそ行きで?

ギャルの格好。

リア充じゃんかよ。

嫌だよ俺一緒とか...。


「一緒には...ちょっとマジに良いかな。無理だ」

「はぁ?お兄の意見なんか聞いてない」

「...いや。だから...」

「あのね。私は義妹。何処に一緒に行こうとも兄妹。だから関係ない」

「い、いや。だから...」


「お兄!行くの!私も!行くの!行きたい!の!」と駄々をこねるギャル。

俺は「分かった分かった!」と慌てた。

それからギャルはパァッと顔を明るくした。


俺はその中で「オタクの祭典なんか行ってもつまらないだろお前」となる。

だが彼女は「つまらなくないもん」と頬を膨らませる。

そして「今日はお兄がお金を使いすぎないか見張る事をしないと」となる。


「いやその。俺はそんなギャンブルの様な事はしないから」

「ふーん?本当に?」

「何でそう理由を付けてケチ付けるんだ。意味が分からん」

「な!?ケチ付けてないし!」

「ケチ付けているから文句を言っているんだぞお前。...全く」


口をへの字にする天。

俺は盛大に溜息を吐いた。

それから俺は「まあとにかく行くなら行くぞ」と言う。

すると天は「うん。行こ行こ」とニコッとする。

何でこんな事に。



電車で2駅の場所にそれはある。

それはアドメイド。

アニメのグッズが沢山売られている場所だ。

俺はそんなアドメイドを目指して駅を降りた。

それから歩いていると天が「お兄」と言ってきた。


「?」

「あそこのカフェ行きたい」

「何でだよ?カフェなんて俺は場違いだぞ」

「行きたい」

「いや...うん?」

「行きなさい」


最後は、行きなさい、かよ。

何でこんな事に。

そう思いながら俺はイヤイヤな感じのまま天に引き摺られて歩き始める。


そしてカフェに来た。

若者が沢山...っていうかリア充が沢山。

金髪、銀髪とか居る。

不良っぽい奴らも居る。

コイツら。


「ねえねえ。何飲む?お兄」

「俺は一分一秒でも良いからこの場所から離れたい」

「そんな事は通用しません。飲みたいものを言いなさい。早く」

「はあ...」


俺は盛大に溜息を吐いた。

それから「ならキャラメルマキアートで」と注文する。

するとイケメン店員が俺達を見比べて「?!」となっている。

つまり俺には「お前、場違いだろ」と言いたい様だ。

彼女に対しては「これが彼氏なの?」と聞きたい様だ。

その気配に天は「はい」と返事した。


「彼氏です」

「オイ。何、ちょ」

「私達、ラブラブです」

「お、おい」


だがそんな俺のそんな不安は抹殺された。

何故なら思いっきり足を踏まれたから。

それから天はニコニコしながら店員から出来上がった品物を奪い取る様な態度をした。


かなり立腹。

腹立てている様だ。

何故?


「天。面倒な事になるぞ」

「?...良いよ?別に私は」

「は、はあ?!」

「だって楽しいし」


訳が分からん。

そう思いながら俺は苦笑いを浮かべた。

それから天は俺にキャラメルマキアートを渡してくる。

そして天はキャラメルドリンクを笑みを浮かべてゆっくり飲んだ。

俺は「...?」となりながらゆっくりキャラメルマキアートを飲んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る