第55話 勝てぬなら、勝てるようになるまでエネルギーを奪えばいい

「ケイト、まさかあなたがあいつの姉だったとはね。世界を滅ぼすって? その前にあなたを倒させてもらうよ!!!」


 アンナたちがケイトを取り囲んだ。


(このクロウドとかいう金髪のガキは強い。どうなっているのかは知らないが、体内に信じられないほどの生体エネルギーを蓄えている。おそらくヴォルフラムをやったのはこいつだ。クソッ、こいつを倒すには、まだまだ生体エネルギーが足りないか……)


「悔しいが、お前たちは後だ。そこで待っていろ!!!」


「待て!! 逃がすか!!!」


 攻撃しようとする三人を嘲笑うようにケイトは空高く飛び立ち、三人の目の前から姿を消した。


「ちっ、逃げられたわね。やっぱり空を飛ばれてしまうと手の打ちようがないわ」


「空飛ぶ魔道具みたいなのがあればいいのに」


「彼女はいずれ私たちの所へ戻ってくるわ。それを待つしかないわね……」


 三人の攻撃が届かなくなる高さまで飛び上がったケイトは、周囲の生体エネルギーを感知していた。


「……ヴィランたちが近くまで戻ってきているな!!! まずはお前たちからエネルギーをいただくぞ!!!!!」


 ケイトはヴィランたちを見つけると、彼らの元へおもむき素早く地上へと降り立った。


「ケイト様、来てくれたのですね。ありがとうございます。見てください。スポンサーたちを全員確保して連れてきましたよ!!!」


「そんなことはもうどうでもいい。力を、力をよこせ!!!」


「えっ!?」


 ケイトは、帰還したヴィランと、彼らが連行してきたスポンサーたちから、生体エネルギーを吸収していった。


 生体エネルギーを奪われたヴィランとスポンサーたちは、干からびたミイラのような姿になっていた。


「まだだ。あのガキを倒すには、まだ力がいる」


「もう少し待っていろ。もっと力を手に入れて、お前たちごと、この世界を崩壊させてやるよ」


 ケイトは再度空高く飛び立って行った。


 ケイトは地上に人間を見つけると、無差別に生体エネルギーを奪っていった。


「まだだ、まだ力が足りない。どうすれば……。ああ、そういえば、マスターがいたな。あそこに巨大なエネルギーがあるじゃないか。そうだ。あいつから奪えばいいんだ」


 ケイトは不敵な笑みを浮かべながらつぶやいた。


 ケイトは石化したマスターの元へ向かうと、内部のエネルギーを奪っていった。


「こいつ、石化した状態でも、こんなにエネルギーを蓄えているなんて。すごいわ、これならあいつに勝てる。待っていてヴォルフラム。姉さんが必ず仇を取ってあげるからね」


 完全にエネルギーを奪い尽くしたケイトは、自身の身体を女神のような姿へと変化させた。


「これでいい。これだけ力があれば、いつでもあのガキを倒せる。あいつを倒して、この世界を破壊して、新しい世界へと作りなおすんだ。そして、ヴォルフラム。姉さんが必ずあなたを復活させてあげるからね」

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