第7話 アンナが好きすぎておかしくなったウサ子姉さん

「アロウラはもうわかってるだろうけど、いくら体内の魔素を浄化出来ても、あなたが魔法を使う限り魔素はどんどん蓄積していくし、そもそもこの国は今魔素だらけだから、クロウドが浄化してもしばらくすると元に戻ってしまうわ。だからとりあえずあなたは当分魔法禁止ね」


「私、魔法使わないと、ほとんど戦えないけど、それでもいいの?」


「いいわよ。あなたの身体の方が大事だもの。魔素を解毒出来る触媒の話をしたの覚えてる? それで体内の魔素を常に浄化する魔道具を作れるの。その魔道具があれば、魔法を使っても大丈夫なはずよ。それまでは我慢しなさいな」


 そういうと、彼女は笑って、後ろからアロウラを抱きしめた。


「頼りにしてるわ、アロウラ。スクネを助けてあげてね」


「スクネ?」


「ああ、あの子の本当の名前、スクネっていうの」


「スクネか。いい名前ね」


(ああ、アンナの膨らみかけたおっぱいが背中にあたってるわ。やっぱりアンナって最高。さっきはちょっと怖かったけど、そういうところも含めて全部好きなの。ああん、ゾクゾクしちゃう。もう我慢できないよ)


「ねえアンナ、私がんばるからさ、キスさせて。お願い。そうしたい気分なの」


「仕方ないわね。ほら、きなさいよ」


「ありがとう」


 アロウラは振り向くと、そのままアンナを抱きしめながらキスをした。


(アンナ好き。好き好き好き。大好き。あぁ、気持ちいい。ああん、アンナの柔らかいくちびる最高だよ。はぅぅ、やっぱりハグするとアンナのおっぱいがあたって気持ちいいよ。もっとしたい、もっと、もっと……)


「あぁっ!!」


「どうしたの?」


「ごめん、気持ち良すぎてまたお漏らししちゃったの……」


(まったく、手がかかる子供がもう一人増えたようなもんだわ。大丈夫かしら?)


 朝になって、クロウドが起きてきた。


「おはよう、クロウド。ぐっすり眠れた?」


「おはよう、アンナ。ありがとう。バッチリだよ。おはよう、アロウラ。今日も一日がんばろうね」


(こうやって見てると、まるで同い年の友達みたいな関係なのよねえ。この子はまだ、自分の母親がアンナだってことは知らないからでしょうけど)


「おはよう、クロウド。ええ、今日もお互いにがんばりましょうね」


「ねえアンナ、今日はこの森を抜けて街まで行くんでしょ? すんなり通り抜けたいけど、魔素のせいで魔物がどんどん凶暴化しているのよねえ。どうするの?」


 三人の目の前に広がるのは、魔法使いの里とこの国の街を分け隔てている森。

 

 人々からは迷いの森と呼ばれている。

 この森全体に特殊な魔法がかけられていて、魔法使いの里の関係者でないと、通り抜けることができないからだ。


 加えて、魔道炉の事件以降、この森に住む魔物も、魔素の影響を受けて凶暴化していた。


「心配しなくても大丈夫よ、アロウラ。ちょうどいい機会ね。クロウド、あんたの剣術をアロウラに見てもらいなさいな」

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