レベル0の無能だったが世界最強になってやる!~クズ野郎に殺されかけた最低辺ダンジョン探索者は固有スキルで『ざまぁ』するため無双する~

いな@

現代ダンジョン編

第1話 レベル0

 パシッ――カラン――


「しゃっ! スライム百匹完了っと。上がっててくれー、頼むっ!」


【名前】ユート ミカミ(御神 勇斗)

【Lv】0

【状態】健康 疲労(微)

体力HP】9/10

魔力MP】0/0

【 力 】4

【耐久】6

【速さ】4

【器用】9

【知能】3

【精神】7

技能スキル

【装備】フライパン+


 覗いたステータスアプリに変化は見あたらない。


 まだ駄目か。今日もスライムを百匹ずつ数えて三回目、計三百匹も倒してるのにレベルは微動だに……この頑固者め。


 義母さんはレベルもステータスも発現してない。


 俺はレベル0だけどステータスも発現してる。


 だから人よりレベルが上がるまで、経験値的なものが人一倍必要だと思ってやってるけど……。


 くじけそう。はぁ。


 ――っ!


 パンッ――


 しゃがみこんでた目の前で突然湧いたスライムをフライパンで叩き潰す。


 ……あっ、今度はあっちで湧いた……ホントよく湧くダンジョンだよ。


 手に持つフライパンを見ながら思う。


 家にあった武器になりそうな物は色々試したけど、どれも一撃では倒せなかったよな。


 でもフライパンは一撃……現状スライム限定で最強じゃね? 思うに面で押し潰すのが良いのかもしれない。


 消えたスライムから出た魔石を拾い、一応はとスマホに目を戻す……が、変わり無しだよなぁ。


 ウエストポーチに魔石を放り込み蓋を閉じる。


「今日は終わり、かな」




「……駄目だ。こんなんじゃいつまで経っても愛美義妹の横で戦えない」


 時間は――16:09か。

 

「まだ時間はあるな。よし! 後、九十九匹狩って帰るぞ!」


 パンッ――パンッ――








 十八時を過ぎた頃、目標の百匹目になるスライムを倒し終わった。いつものようにスマホを覗き込む……が。


「お願いっ! …………動き無し、か。ふぅ」


 いや、もう少しやる、か……いや帰ろう。流石に心配させるだろうし。


 スマホをポケットにしまい、出口に向かう。


 向かう最中に五匹のスライムが俺のお小遣い魔石に化けた。


 土曜の今日は朝から倒しまくって四百五個だ。


 ……頑張った自分へのご褒美にお高いハーゲンダッツでも買おう……カップは食べ歩くのアレだし、何とかサンドってヤツにするか。


 おっと、アイスに囲まれる幻覚を見ていたようだ。いつの間にかダンジョンから出てたわ。


 アイスは確定だけど魔石どうすっかなぁ……疲れてるし、このままコンビニよって帰るか……。


 思ったより使えたフライパンを腰に吊るし、どうするか考えるため、松尾芭蕉像の前で立ち止まる。


 悩ましいけど、やっぱり魔石は売って帰ろう。


 決意を固め、道を挟んだ向こう側のダンジョン協会ビルに向かい足を進めた。







 協会のホールをガヤガヤと探索帰りの者たちが買取り待ちのため、夕方の一時ひとときを賑やかしてる。


 入る時に見たくも会いたくもないヤツとすれ違ったが、睨まれただけで何事もなく中に入ることができた。


 ふう。さあ帰ろうって時にうざ絡みされちゃ無駄に疲れるからヤなんだよなアイツ。


 気を取り直し、最後尾は……あそこか。並んでしまおう。まあこれくらいの人数なら十分くらいかな。




 


 はぁ~、マジで高いな武器。数打ちの刀で三十万か……先は長そうだ。


 スマホに映る数々の武器を見て、ため息ばかり出てしまう。


 ――っと、いつの間にか前いないじゃん。


 今受付中の人たちも終わりそうだし、さっさと換金してアイスと小腹が空いたしおにぎりでも買って帰ろっと。


「次の――あら御神くんいらっしゃい。今日も怪我は無さそうね」


「ども。はい、いつも通りスライムだけですから」


 返事を返して進み、受付の美人お姉さんと――


「今日も沢山狩ったみたいね。どう? レベルは?」


「あー、駄目だった」


「そっかぁ、諦めないで頑張ってね、でも無理は駄目だぞ」


 ――なんて雑談しながらもウエストポーチからスライムの魔石をカラカラとトレーの上へ出していく。


 するとお姉さんは僕の顔を見ながら雑談して、笑顔を崩さず手は魔石を仕分けている。


 マジですごいスピードだよな。


「は~い。御神くんお待たせしました」


 早っ!


「スライムの魔石が四百と五個。買取金額は4,050円です。いつも通り電子マネーで良いかな?」


「はい、それでお願いします」


 カタカタとパソコンを操作しているのを横目で見た後、スマホで残高の画面に視線を戻す。


 そこそこ貯まってきたな。待ってろよ俺の武器ちゃん。


 狙いはやはり日本人なら刀。そんな想いをせてると、開いていた画面の残高が『更新中』に。


 ……おっ、本日の金額がプラスされまし…………たっと。


「入金確認できました。ありがとうございます」


「いえいえ~、御神くんはこの後は帰っちゃいますか?」


 お誘いか? 流石に電車の時間もあるし無理だから断るか。


「はい。電車とバスで帰ると今からでも八時くらいになっちゃいますから」


 お誘いはスマートに断れたと思う。なぜかちょっと笑顔がかげっちゃったけど。


「そっか、うん。また時間ある時に、ね。じゃあ気をつけて、またのお越しを待ってますね」


 お姉さんの視線を振りほどくように『はい、またです』と小さく手を振り市役所出て地下道へ向かう。


 途中のコンビニでアイス。と、鮭おにぎり、ミネラルウォーターを買った。


 アイスを噛りながら地下道への入口。


 よく見る猫がお座りしてこっちを見てる……。


 いや、目線は――コンビニの袋を見てるな……はぁ。


 ガサ――鮭おにぎりを出し包装を取り除いて半分は多いか……だいたい三分の一にちぎり猫の前に差し出してやる。


 俺も一口。やっぱ鮭だよな。水も一口飲み立ち上がった。


 食べ終え顔を洗う猫に『じゃあな』と別れ、地下道に下りた……ついて来てるじゃねえか。


 で、やはり目線はおにぎり。手には残り三分の一。


 お前……、食いすぎじゃね?


 はぁ。とひと息。くっ――可愛いじゃねえか! 


 足下にすり寄り、まさに猫なで声で見上げてくる……クリティカルが過ぎる。


 その可愛さに負けだ、残りは進呈しよう。しゃーない水でも飲んでもたせるか。


 その場にハグハグと食べ始めた猫を残し、壁に貼られた祭りの宣伝用ポスターなんかを眺め歩く。


 もう十月の天神祭の宣伝か。


 地下道は三十メートルほどの距離、その半分も進まないうちにタタタと走る足音の後、『ギニァッ』と鳴き声が背後に聞こえ衝撃が走った。


 ドンッ――


「はがっ――」


 うぐぅぅぅっ、痛っ――な、なんだ、何がっ!


「よぉ~御神~、通行の邪魔すんなよなぁ~」


 く、九頭くず!?


「おかわり――だっ!」


 脇腹の痛みに体勢が崩れたところ、腹に追撃をもらってしまった。胃から酸っぱいものが溢れ出る。


「うっ――げぇ――ま、までっ!」


 ビチャ――


「邪魔だっつってんだろ~。うへぇ~、汚ねぇ~。やっぱみぞおちは効くみたいだぁなぁ~、吐いたのは責任もって掃除してから帰れよな~。んじゃ~潰れてろっ!」


 くっ――まきぞえ――っ!


 すぐ横にぐったりしてる猫を体の下へ引き込む。


「――!」


 ゴンッ――


 頭に衝撃が走って見えたのは地下道のタイル張りの床。次の瞬間顔面に衝撃。


 痛みを感じる前に俺の意識は途絶えてしまった。


 ―――――本日終了時のステータス―――――

【名前】ユート ミカミ(御神 勇斗)

【Lv】0

【状態】気絶 打撲 骨折(鼻骨、肋骨ろっこつ)

体力HP】2/10

魔力MP】0/0

【 力 】4

【耐久】6

【速さ】4

【器用】9

【知能】3

【精神】7

技能スキル

【装備】フライパン+


 新連載第一話を読んでいただきありがとうございます。

 アリガタヤ(。-人-。)アリガタヤ


 主人公勇斗くん、いきなりヤられちゃいました(´ノω;`)ウウッ


 レベルは0だし、武器はフライパンだし( ̄▽ ̄;)


 主人公より猫ちゃんの方が心配Σ(゚Д゚)

 いやいや勇斗くんも心配してあげて。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。

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