第48話 どっちが子供産む??
――次の日の朝――
……
……きのちゃん
……
……月乃ちゃん!!
「……んぁ?」
「月乃ちゃん!!起きて!!」
「サクラ……どうしたの?」
「月乃ちゃん!大丈夫?ちょっと変だよ?」
目を覚ましてすぐに、私は月乃ちゃんを揺り起こした。
赤子のように私にしがみついて離れない月乃ちゃんの様子に、不安を覚えたからだ。
顔色もあまり良くない……熱はなさそうだけど、精神的に弱っているのが分かる。
「変……かな?少し疲れてるのかも……」
「え?」
やばい……月乃ちゃんは自分の痛みに対してかなり鈍感なはず。
そんな彼女の口から、短い期間で立て続けに「疲れている」なんて言葉が出るのは、異常事態だ。
そういえば、ずっと育ててくれたおじいさんが入院したって言ってたし……その影響かもしれない。
「サクラはずっと……私と友達でいてくれる?」
「もちろんだよ!何なら結婚しようよ!!……ボソッマジで。」
「け、結婚?同性婚は人類個体数維持の関係で規制されてなかったっけ?」
「うん。ただの同性婚は禁止だね?というか処罰の対象になる。」
「ただの?」
ただし、これは子供を産めない場合に限る。要するに子供を持つことができれば、許されるのだ。
この世界ではお金さえあれば、同性同士でも子供を作ることができる。子供さえいれば結婚は認められる。
子供を道具のように扱う価値観には疑問を感じるが……それでも方法自体は存在する。
「どっちが母体になる?」
「え……えぇ!?何の話!?」
「月乃ちゃんは自分で子供産みたい?」
「え、えっと……特にそういう願望はないかな?」
なるほど……なら私が母体になるのが無難かもしれない。 ※無難ではない
私の方が胸もあるし、月乃ちゃんは体型的にも安産型とは言えない。
「じゃあ私が産むね?よろしくね~。」
「だから何の話!?」
「え?結婚したらどっちが子供産むかって話だよ?」
「私たち結婚すんの!?」
「私とじゃ......嫌だよね......」
「ッ......!?」
ちょっと意地悪な質問だけど......私はそのくらい真剣だ。月乃ちゃんは私の全てだ。
私の心はもう月乃ちゃん一色なので男が入り込む余地なんて微塵も存在しない。
てか私はこの世に男女がいなくなっても、別に月乃ちゃんがいればそれでいい。
「私は本気だよ?もちろん好きな男の人ができたら全力で応援するし、結婚しても祝福する。でもその候補の中に......良ければ私も入れてみない?」
「ぅぅ.......考えときます......」
「無理はしなくていいんだよ?一応頭の片隅に置いといてって感じだよ。」
「コクコク......」
事実、以前の回帰で月乃ちゃんと恋人関係だったことはある......
月乃ちゃんの性癖も、好きなタイプも弱い部分も正直全部知っているのだ。
私にかかれば......並みの男よりも夜だって満足させられる。
そんなドチャクソ卑猥な事を真面目に思案していると、月乃ちゃんがわざとらしく話を変えてくる。
「て、てか時間的に学校に行かないじゃん?」
「月乃ちゃん……」
「え……?何?そんな改まってどうしたの?」
月乃ちゃんは対人関係があまり得意ではない。
今のこの精神状態で、学校に登校させるのはベストな判断とは思えない。
「無理しないで?今日も休もう?」
「でも……」
「今日はご飯とかも作るよ?ね?休んでほしいな……」
「分かった……」
休むことを了承した瞬間、月乃ちゃんはベッドに逆戻りしていった。
でも、それでいい。今日くらいはしっかり休んでほしい。
それに……学校を休ませた理由はもう一つある。
あくまで予想の範疇を出ないけれど、あの転校生二人は何かおかしい。
「月乃ちゃん……あの転校生二人についてどう思う?」
「え?ど、どういう事?」
「……ううん。何でもない!ちょっと変わった二人だなって思っただけだよ〜。」
――結局その日は、私がご飯を作り、お風呂を沸かし.......
何から何まで月乃ちゃんの世話を焼くことになった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
月乃の生態を誰よりも理解しているサクラ。
そして唐突に結婚した後の、子供の母体が決定しました......するかは分からんけど。
次回はサクラの心の壊れ具合が露呈します。
面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をくれると超嬉しいです!!
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