第44話 新・共振奥義......





「新異能・限界突破。共振奥義……」


「まさか……新しい異能に覚醒したの?」



 世界で初めて……人類史上初めての偉業だ。

 肉体に異能が固定された後に、新しい異能を開花させるなんて......

 今のラナは......皇帝級の怪異と戦っても恐らく負けない......



「来なさい……裂月塊刃!!」


「キェェェェ!!」


「巨大な刃?というよりこれは……」



 それは刃というにはあまりに大きく分厚い。

 対象を切るというより、空間断絶そのものを敵に叩きつけるイメージだ。

 これまでの斬撃が「線」だとするならば、これは「面」……


 ――触れるものすべてを分解する斬撃の壁だ。



「死になさい!!」


「”&$%’”&#%’”&#%」


「逃げる気!?正々堂々と戦いなさいよ、この卑怯者!!」



 敵は自身の素体の一部を切り離し、ラナの斬撃範囲から逃れようと試みた。

 切り離した部分は硬化し、防御壁として機能する一方で、本体はその影に隠れながら高速で逃走する。

 その動きは死角を上、極めて小さく速いため、ラナですら仕留め切ることができなかった。


 しかし……そんな状況を私が許すはずもない。



「異能共振……『朔月』!」


「くっ……今回は特別に譲ってあげるんだから!!」



 こいつを完全に消滅させるには......より確実な手段が必要だ。

 それにラナが成長したのに、私だけが何の成長も見せられないなんて、とても許されない。

 何より……深緑の神様が見ている。絶対に無様な姿は晒したくない!!



「了解、譲られた! あとは任せて!」


「#’$&$#!?」



 異能の効力を全て壊して、剣先にただ純粋な力を圧縮する。

 今の私には、異なるルールに生きる存在を破壊するための、純粋な力が必要だ。

 あとは軽く振るだけでいい……軽やかな剣筋をイメージして――



「新・共鳴奥義『繊月』!」


「ピキッ……」


「と、止まっちゃったわよ!?」



 私の剣閃は、遥かなり天空に眩い二日月の輝きを作り出した。

 繊月の輪郭に触れた敵は、まるで時間が静止したように沈黙したのだ。

 そしてほどなくして風に吹かれる砂のように、広い空の中に消えていった......



「終わった。結構疲れた……世界結界解除……」


「結局、あいつ何だったのかしら?どう見ても怪異っぽくはなかったけど。」


「ラナ……」


「な、何よ……」



 このままじゃダメだ……今の私じゃ人類を守り切れない。

 事態が悪くなればなるほど、サクラは私への監視を強化してしまう。

 このままでは私は『朔月ムーノ』として動くこと事態、難しくなる。


 それに……ここ最近、敵が強くなりすぎてる。

 もちろん負けるなんて思わないけれど、私の目的は勝つ事じゃなくて守る事だ



「頼って……いい?」


「……いいわ、任せなさいよ。」



 ラナは強い……私にはない心の強さを持っている。

 根っからの退怪術士――表面的には恐怖を見せても、ブレない芯の強さがある。

 引き換えに私はどこまで言っても、人の弱さや甘さを捨てることができない......



「例え友達に嘘をつくことになっても……それでも頼らせてくれる?」


「一つだけ聞かせてくれないかしら? 私が友達に嘘をつくのと、つかないの……どっちが人類のためになる?」


「つく方が……ためになる。」


「なら、嘘をつくわ。あたしは退怪術士よ?」



 もう、私一人で人類を守り切るのは無理だ。

 もっと誰かと連携しなければ、怪異の神には勝てないかもしれない。


 だから――



「場所……変える。ついてきて。」


「分かったわよ。特別に後ろをついて行ってあげるんだから!」


「ありがとう……」


「ちょっ!? 調子狂うわね!!いつもみたいに煽りなさいよ!」



 .....そう言うなら、仕方ない。頑張って要望に応えよう。



「雑魚ちゃんに……ついてこれるかな?」


「あぁ、もう!その切り替えの早さ、何なのかしら!!」



 私たちは飛び立った......きっと、サクラのことは神様たちが何とかしてくれるだろう。



 ―――このときの決断を......私は一度も後悔したことはない。









 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 お互いの進化により、難なく敵を倒した二人......

 しかし、強気なラナとは対照的に、ムーノは不安を感じていた。


 そして遂に......仮面の下の素顔が明かされる??

 

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