第42話 共闘
「悪いけど、あともう少し協力して!」
「共闘ね……いいわ!特別に協力してあげるんだから!」
ここでこの敵を地下にとどめて戦うのは、あまりにもリスクが大きすぎる。
攻撃の規模からしても、大気圏外まで運ぶ必要はないとしても、少なくとも成層圏までは飛ばす必要がある……。
てかバカだからそれしか思いつかない!
「とりあえず、成層圏まで吹き飛ばす!!」
「ちょっと、ここは地下よ!?どうやって地上に出すっていうのよ!?」
「こうするの!!模倣・必滅の黄金砲!!」
黄金の輝きが周囲を包み、直径1キロ近い風穴が地下空間の天上に開いた。
この技は、怪異の神から模倣したものだが、威力はオリジナルの100分の1以下……やはり完全なコピーはできない。
それでも、周囲への被害を最小限に抑えるため、他の異能もフル稼働させている。
「異能模倣・浮遊! 合わせて従刃転移!!」
転移には距離の限界があり、転移させる対象によってもその最大転移距離が変化する。
しかし、あの怪異の神さえ大気圏まで運べたこのコンボ技なら、こいつ程度には十分通用するはずだ。
「ラナ!成層圏での戦闘できる?」
「余裕に決まってんでしょ!」
「じゃあ、舌を噛まないようにね!!」
「は!?」
私はラナとこの未知の敵をわずか十秒で成層圏まで飛ばした。
地表から約15キロ、気温はマイナス55度を下回る極寒の領域に到達した。
「ラナ?生きてる?」
「当たり前でしょ?あんたを超えるまでは、死なないんだから!!」
ラナは体中にメラメラと炎をまとっている。
正直どうやって酸素を調達しているのかは分からないが、無呼吸で戦っているわけではないらしい。
「ラナ!!光線がくる!!」
「は?さっき回転部は破壊したわよ!?どうなってるのかしら!?」
「変形前のこいつは、ほとんど液体だったの。たぶん、蒸発させるしかない!!」
「シンプルでいいわね!って言ってるうちに、また撃ってきたわね!二回目の砲撃がお出ましよ!!」※脳筋×2
ラナが先ほど破壊した回転部は再生しており、それが再び赤く光っている。
遂に四つの球体が本体から離れて浮かび上がり、電撃をまき散らしながら高速で回転し始めた。
「もう一度、私が受け止める!回転部をよろしく!!」
「任せなさい!!今度はもっと徹底的にぶっ壊してあげるんだから!!」
「七層護光月壁!!」
私が七層の結界を唱えた刹那、先ほどより短いチャージ時間で光線が放たれた。
「くっ……!?さっきよりも浸透してくる……!」
明らかに威力が増している。まさか学習しているの?
私の防御を解析して強化してくるなんて……信じ難いけれど、地球の理の中にいないならありえるだろう。
――しかし今の私にはラナがいる。さっきみたいにはならない!
「炎龍斬爪!!」
ラナの一撃が回転部を蒸発させた。やはり攻撃性能という面で、ラナの非常に異能は強力だ……何せ切断できる対象に制限がない。
しかし異能の性能だけではない.......彼女自身の鍛錬で極限まで強化されているからこそ、この威力を発揮できる。
「やるじゃん。」
「当然よ!あたしは退怪術士序列2位、千斬のラナなんだから!」
「じゃあ、万年2位さん?何か違和感ない?」
「……さっきより斬撃が通りにくかったわ。あくまで手応えだけど、多分あいつ学習してる……長引くと面倒ね!」
やはりラナも感じていた……。となると、1回に1つの事しか学べないという制限もなさそうだ。
つまり、長引けば長引くほど、こちらに不利な状況が生まれるということだ。
「なるほど……ラナ!こっちに来て!!」
「何よ?合い挽きになんて付き合わないわよ?」
「異能・創造……水素爆弾からのぉ!粒子荷電天柱!!」
「は?」
すると未知の敵の真上に水素爆弾が落下し、下からは光の巨柱をそそり立つ。
ラナでも至近距離でこの威力を受ければ無傷では済まないはずだ。
いくらラナでも流石にこれを至近距離で受けたら死ぬ……いや大怪我をするだろう。
これで死なないかも、と思わせられる当たり流石にラナって感じがする。
「やったかな……?」
「あんたバカ!?何でそういうフラグを立てるわけ?」
「あ……ダメっぽい。でもダメージはある。」
「だから言ったじゃない!」
想定内ではあるが、相手が生き延びたことは不安要素だ。
ダメージが入るなら、学習が追いつかないほどの攻撃で連続的に攻撃すれば……そう思った瞬間、
「……何か、表面が湯立ってない?」
「水じゃないのよ?違うに決まってんでしょ。」
液体のようなその表面がボコボコと泡立ち、中から黒い物体が生み出されていく。
さらにその黒い物体が、次第に形を変えていき……
「……私の作った水爆、模倣されたみたい。」
「何呑気なこと言ってんの!?どうすんのよ!」
私たちはすぐに、次の対策を考えなきゃなくなった......
そうはいっても......一体どこまで模倣できるのだろう?……。
本当の共闘が始まった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
2人は思いの外、相性抜群!?
未知の的に大して、いつも通り力押しの雑 な攻撃を仕掛けるムーノ。しかしそれが模倣されて……
次回、遂に千斬のラナが覚醒!?そしてムーノはとある決断に?
面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をくれると超嬉しいです!!
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