第26話 それは友愛か恋愛か
夜の1時を過ぎた頃、月乃ちゃんはいつもの理性的な様子とは違って、完全に崩れてしまっていた。
彼女がこんな状態になるのには、いくつかの条件が重ならなければならない。
まず前提条件は気が抜ける相手と二人きりであること!
そこに寝不足に極度のストレス、そして一定量の糖分を摂取した満腹状態。
さらに、月が雲に隠れている夜であること――
これが全て揃って、ようやく彼女は「ポンコツモード」に入るのだ。
「月乃ちゃ〜ん。今日はここに泊まろうか?」
「ゥー。」
「……かわいいぃ。」
「ンゥ……」
月乃ちゃんはぼんやりとした目をしていて、今どこにいるのかも曖昧なようだ。
私の背中に寄りかかりながら、まるで小動物のようにゴニョゴニョと動き回っている。
「ほらほら、それは食べ物じゃないよ?私の髪だよ?」
「ァム……」
「寝てもいいんだよ?」
「アーイ。」
そんなやりとりをしながら、とにかく私は月乃ちゃんをホテルに連れ込むことに成功した。
「おーち?」
「お部屋かな?」
「ベットォォォ!」
月乃ちゃんは、信じられないほどの速さでベッドに飛び込み、その中で丸くなっていた。
「ふふふ、月乃ちゃ〜ん。自分から布団に入っちゃうなんてぇ?」
「(( *´ `)」スリスリ」
「……月乃ちゃん?」
「んー。」
私は……私は何を考えていたんだろう……
目の前でこんなに無防備に甘えてくる彼女に、ピ―――なことをしようとしてたなんて。
月乃ちゃんは、私を癒してくれる存在で、私の心の支えなのに……
「そっか私......」
おかしくなっていた……私は少し壊れていたんだ。
常識的に考えて同意のない相手を、手篭めにしようとするなんてありえない……
それを気付けないほどに私は疲れていた……
今この場で……私は甘えてくれる月乃ちゃんに癒されたんだと悟った。
「月乃ちゃん、今日はゆっくり寝ようね……」
「ンフゥ……」
「月乃ちゃん、私はね、何度も何度も、あなたを守れなかったんだよ……でも、今度こそ。」
「んぅ?サクラ、守るぅ。私、サイキョー。」
この子は、本当に優しいんだ。弱い時だって、迷いなく私を助けようとする。
一度目の人生でも、弱いのに迷いなく私を助けようとした……
あの顔には焦りこそあれど、恐怖の色は見えなかった。
「月乃ちゃん……私は弱いんだよ?嘘を重ねて、それでもいつも弱さに押しつぶされそうになる。」
「よわよわ?」
「うん、そう……私はよわよわさんなんだよ。」
「なら、いっぱい頑張った。」
「え?」
「よわよわさんなのに、偉ぁい。」
この子は、誰よりも欲しい言葉を、必要な時にくれる。
私は今まで誰からも「頑張ったね」と言われたことがなかった。
ラナちゃんでさえ、私の苦悩ばかりに同情を向ける。
それが彼女の優しさなのも分かる......でも私は同情されたいんじゃない。
「うん……私、たくさん頑張ったんだよ?これからも頑張るから。だから、ずっと私のこと……」
「?」
「月乃ちゃんの優しい月明かりで照らしてよ……」
「はーい!」
絶対に......今度こそ守って見せる。私の大切なお月様.......
何度失敗しても、今度は特異点を超えてみせる。
人類を救う......そのための準備は進んでいる。
もう理不尽に奪わせたりしない。あの日、月乃ちゃんの背中に隠れていた、あの弱かった私とは違う!
「お風呂入る人ー!」
「入るー!ベタベタするー!」
私は、彼女をお風呂に入れた。
ウトウトしている月乃ちゃんの体と頭を軽く洗い、浴槽の中で後ろから優しく抱きしめる。
「女の子で良かったぁ……」
「?」
お風呂から上がった後、私は月乃ちゃんに服を着せずにベッドへ連れて行った。
少しだけ、許して……?だって、私は頑張ってるんだから……。
裸のまま、私は彼女を抱きしめる。そして……
「大好き……」
「ビクッ。」
そっと、軽い.......かなり深めのキスをした。
「おやすみ、月乃ちゃん。」
「お、おやすみぃ?」
暖かな月乃ちゃんのぬくもりに包まれながら、私は深い眠りについた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
何かラブコメみたいになっていますが......
これは間違いなくバトルものです.......多分?
面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をくれると超嬉しいです!!
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