第20話 武士の到達点





「二階堂兵法・心の一方。」


「なっ!?」



 動けない……金縛りか?でも、何かが違う。

 これは剣技か?いや覚えがある、史書で見た「すくみ術」



「巌流・虎切刀!」


「なっ!?」



 この状態で、下からの剣戟?

 しかも「虎切刀」は巌流か?それとも私が知らないだけ?


 だけど問題ない。

 動けないことなんて関係ない。


 私は……人類の最高到達点なんだから。



「異能・創造 アダマンタイトシールド!」


「何と!?その金属、如何なるものか!」


「ファンタジーに出てくる神話の架空金属よ。」


「されど心の一方は……」


「はっ!!」



 私はその「心の一方」を己の覇気で振り払った。

 並の技ではないことはわかるが……私が並であるはずがない。



「ほう……未熟ではなく、完璧なる心の一方を……」


「通過点如きが私の前に立ったことを後悔させてやる。異能・運動エネルギー操作!」


「『怪能』一ノ纏い・上泉伊勢守信綱!」


「正面から圧倒的力で叩き潰してあげる!!」



 何だろう……皇帝級との戦いは面白い。

 まるで人間と戦っているみたいな感覚になる。



「神速圧殺!!」


「新陰流・無刀取り。」



 怪異は私の攻撃を防がず、そのまま突っ込んできた。

 そして、あることに気づく……。



「そなたの刀……取ったり。」


「……は?」



 私の刀が、奪われている……?

 こいつは今まで戦った皇帝級の中でも……かなりの強者だ。



「私の刀を……」


「……組み伏せ、打ち砕くつもりであったが……やはり貴様、ただ者ではないな……まさしく怪物よ。」



 まさか、武器を奪われるとは……だけど、俄然やる気が出てきた。

 剣技で勝ってみせる。私は、剣の世界でも地球の頂点に立つ!!



「……双刀・隠れ月。」


「致し方あるまい。しかし、そのくだらぬ矜持ゆえに命を落とすこととなろうぞ。」


「朔月流剣式……」


「……なんと。」



 私は、多くの剣術を習得してきた。

 でも一つ大きな難点があった……


 五感、関節の可動域、筋肉の構造、骨の強度……

『異能』を抜きにしても、私のスペックは人類の規格を遥かに超えている。


 身長は155cmだが、私の体重は80kg以上ある。

 肉体の密度が、他の人類とは比べものにならないのだ。


 巨漢と異能なしで殴り合っても、圧勝できる。

 いや、一撃で頭蓋骨をぶち抜いて殺せるだろう。


 つまり……私に合う剣術など、人類史に存在しない。

 だからこそ、オリジナルの剣式を作るしかなかったのだ。



「『二刀火葬』!」


「……燕返し。」



 人類の頂点たる私に、剣技で互角以上に渡り合う怪異。

 当然、傷は負っていないが……もし同じ条件下で戦っていたら無傷ではなかったかもしれない。


 それほどまでに「燕返し」の2撃目は予測が難しかった。



「先人は凄い……私という到達点を、一分野とはいえ超えているんだから。」


「剣の世とは、積み重ね、突き抜けてきた歴史そのものよ。」



 なぜ料理だけはできないのか、と以前おじぃに問われたが、今は無視する。


 私は、人類が築いてきた技術を即座に模倣し、凌駕できる。

 そして……この皇帝級も同様だ。



「一つずつ凌駕して、袋小路に追い詰めてやる。貴様の誇りを引き裂いて、ラナの腕の分にしてやろう。」


「積み重ねてきた士の真髄。たとえそれが到達点なれど、易々と越えられるものではない。」


「そうかしら?今の剣術はもう見切った。一度使った技は通じない。その引き出しが尽きるまで、せいぜい堪能しなさい。」


「その前に、我が刃にて、貴様の命を断たん。」


「やってみなさい。あなたは私が叩き潰す。」



 楽しいな……皇帝級なら、相手の土俵に合わせて戦えば、多少いい勝負ができる。

 私は、この戦いに浸る。


 孤独が紛れる束の間の幸福に……。



 そして、剣と剣がぶつかり合う戦いが始まった。








☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 第20話をここまで読んでくださりありがとうございます!


遂に始まった大将戦??

そして何と剣技だけの戦いを挑む朔月のムーノ!

人類最強の今なお止まることなく、急速に進化していく??


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!

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