第13話 実践訓練がハードすぎる!







 昨日の夜、サクラから衝撃の事実を聞かされた。まさか未来人だったとは……


 そしてこういう日の次の日に限って何の出動命令も入らない。

 一体どんな顔してサクラに会えばいいのか。



「月乃ちゃんおはよぉ!」


「お、おはよ。き、今日は晴れだね?」


「うーん??いきなりどうしたの?」


「……いや。ちょっと寒くなった思って。」※春です。



 怪しいぃぃぃぃ!私不審すぎる!!

 当事者の自分でさえ驚く程の不審さ!!


 これを1日続けたら流石に……バレるかも!!



「寒くなってきたねー!風邪引かないように気をつけるんだよ?暖かくしようね〜。ヨシヨシ……」


「ぁぅ?」


「大丈夫だよ月乃ちゃん。大丈夫……」


「サクラ?」



 少し悲しそうな目をしているサクラは、愛おしそうに私の頭をナデナデしていた。



「あ、月乃ちゃん!今日の要塞外演習のバディ決まってる?」


「まだだけど?」


「私と組もうよ!というか私と組んで!ううん組め!」


「ちょっ脅迫!?別にいいけど……」


「じゃー決まりね!ボソッ第1関門突破。」


「サクラ?」


「ナーンでもないよ!」





 ーー要塞外訓練ーー



「皆さん。これから運命の要塞外訓練ですわ。ハッキリと言いますわ。この要塞外訓練、不測の事態は当たり前です。」



 エツコはいつもお調子者だが、今回ばかりは真剣な面持ちで、重苦しい雰囲気を出している。



「漫画のように『ここに公爵級!?どうして!?』というような事態は最早当たり前ですの。過去にこの訓練で生徒、教師、護衛に就いた退怪術士が全滅したという前例も一つや二つではありませんわ。」


「コソ……そんな訓練まかり通るんだ。」


「コソ……危険だけど必要だよ。ここで覚悟を決められない人は使えない。でも大丈夫。月乃ちゃんは私が守る。」



 凄い世の中になってしまった……もちろん前の世の中なんて知らないんだけども。

 学生に命を捨てる覚悟をさせるなんて……


 当然ここには、退怪術士を強く志したものだけが集う訳では無い。

 強力な紋章を持って生まれたが故に、半強制的に入学させられている子達も少なからずいるんだ。



「ほらこそ!お話なさらないで!という訳で今日はこの方に護衛に付いてもらうことになりました。本当は違う方が来る予定でしたが……急遽変更になりましたの!皆さん絶ッ対に知っている超超超上位の退怪術士……その名は……」



 エツコは溜めるに溜める……しかしマズイ。

 私はその波長だけで登場前から誰か分かっている。これは……今日が命日かも??



「認定序列2位『千斬のラナ』様ですわぁ!!」


「「「「うぉぉぉぉああああああああ!!!」」」」



 序列上がってるぅぅぅぅ!?宣言通り私の次に付けてきた!!

 ていうか序列コロッコロ変わりすぎじゃない!?



「お静かに!!何かお言葉をお願いいたします。」


「いいわ。このあたしが特別に話してあげる。スゥゥ。」



 彼女は深呼吸をしている、その間にお祭り騒ぎはなくなり、静寂の中一気に緊張感が走った。


そして『千斬のラナ』は話し始める。



「あたしは未来の退怪術士たる気概のある子を優先的に助ける。逃げたり、立ち向かう勇気さえ無い子達は……ここで死ぬことね。多分……あなたたちが今後ここ以上に楽に死ねる事は……ない。」


「えぇ……サク、」


「…………」



私は押し黙っているサクラを見て戦慄を覚えた。


 想像できないほど覚悟を決めた瞳……

 一体これまでどんな凄惨な死に方をしてきだろうか?


 その目。一体どれほどの覚悟を決めたらそんな顔ができるの?

 一体サクラあなたは……何を見据えているの?普通に超怖いんだけどぉぉぉ。


そんな私の想いを横目に、ラナは生徒達に現実を叩きつけた。



「勘違いしているようだから言っておいてあげる。朔月のムーノが特別なの。怪異が凶暴化してる今、彼女が駆けつけられない現場の死亡率は前以上よ。」



 流石に生徒達は静まり返った。確かにそうだ。

 確かに段々と私抜きでも白星を挙げ始めてはいるが……ただそれだけ。


 強い退怪術士が勝っているだけなのだ。

 弱い退怪術士や一般レベルの退怪術士は、上位退怪術士が来るまでの時間を稼ぐ『肉の壁』として使われる事も少なくない。


 数十億の犠牲を払っているのだ。もう何がなんでも人類を減らさない為に躍起なのだ。

 その為ならば少数を犠牲にすることを人間は厭わない。そういう生き物だ。



「それでは皆さん。覚悟を決めて行きましょう。先生も死ぬ覚悟は昨日済ませましたわ。この要塞結界門の外に出たら……一切の希望は持たないように。」


「えぇ。そういう感じ??」


「大丈夫。月乃ちゃんは私が絶対守るから。」



 あ……これあれだ。

 多分どっかの回帰で私この実践演習で死んだやつだ。



 そうして『千斬のラナ』が護衛の為か、後ろの方に移動してきた。

 そしてサクラとすれ違いざまに……私以外の誰にも聞き取れないほどの声で……



「ラナちゃん。頼んだよ。」


「任せなさいサクラ。あんたは月乃に集中してればいいわ。」


「ありがとう。」


「あたしとあんたの仲なんだから。」



 うん?何その会話!?私人類最強!!

 私本作の主人公!!除け者なんておかしいじゃん!!!


……そして実践訓練演習は始まった。







☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 第13話をここまで読んでくださりありがとうございます!


何やらサクラとラナは面識が??

そしてモブのように展開に置き去りにされる主人公!炸裂するメタ発言!


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!


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