第7話 君主の大怪異『ヤミ』





 気がついた頃にはもう『千斬』の腹には風穴が空いていた。



「あれれ〜?心臓を狙ったんだけどぉ?咄嗟に避けたぁ?」


「……あんた。な、に?」



 不味い。明らかにさっきの奴よりも強いわ。

 異能の出力は戻ったけれどこの傷に、この疲弊……


 勝率はさっきより低い……



「私は大怪異『ヤミ』。怪異の君主に位置する上位怪異の一粒だよ〜。」


「……それが?な、に?今命乞いするなら、特別に見逃してあげなくもないわよ?」


「うそ〜ん。この後に及んでまだその闘志!?いいねぇ〜すごく好きぃ!なんか凄く…………

 壊しがいがありそう。」


「!?」



 とてつもない……悪意の本流。

 絶対に折れないと誓った直後のラナを、一瞬揺らがせるほどの害意。



「グチャグチャになろっか?楽しいよぉ〜?私がね?」


「私が、ズタズタに引き裂くの間違い、でしょ?」



 一撃……それで仕留めるしかない。

 この状態で長期戦は不可能。こいつを倒してあたしは……


 人類最強を超えてやる!!!



「異能共振……炎龍心装・終の剣式ーー」


「凄ぉい。人間ってこんなに凄い生き物だったっけ?でも良いよ?怪装合成・地獄浄土」



 静寂があたりを包み込む……そして。



「『落月斬り!!!』」


「『心壊〜』」



 互いの絶技が交差した。






 ーーーーーーーーーー



「おーバカさん。何で正面からやり合わなきゃいけないの?」



 全てが終わったあと、そこには全身の四肢を貫かれたラナが海上に転がっていた。

 渾身の一撃はそもそも当たらなかったのだ。


 渾身の一撃を放つ前の奇襲。つまり騙し討ち。

 それが彼女の敗因だったのだ。



「こ、んの……」


「さよーならー!もう殺すね!壊れなさそうな奴は要らないの!」


「……あぁ。時間切れ……悔しい。」



 ゴォォォォォォォォ。


 大気が振動している。それは超高速で何かがこちらに迫っていることを意味していた。


 そして現れたのは……



「ラナ?死にかけじゃない。何やってんだかもう。」



【人類最強、朔月のムーノ】



「わた、し、は……まけて……」


「あのねぇ?見た限り、初っ端から奇襲されたんでしょ?何でそんな相手が正々堂々戦ってくれると思ったわけ?」


「ぐっ……」



 確かにムーノの言う通りだ……

 何も言い返せない……



「……でも。あなたみたいな真人間が、損をする世の中は……凄く不快。」


「朔月?」


「見せてあげる。人類最強が何なのか。今日は世界中の人たちに明るい未来を示す。」


「なーに盛り上がっちゃってるの~?」


「私がいる限り......『人類』に敗北はない。」



 ぅぐ......弱ってる時にこの発言は......まずい頼もしく感じてしまう!?

 違う違う私はライバル.....頼もしく思ってどうするのかしら!!



「何で君主がここにいるか分かる??1位のあなたを殺すためだよ?」


「隠れている怪異も出てきなさい?君主級一匹では無いでしょ?流石に勝負にもならないわ。」


「さっすが~。」



 すると周囲の水面から泡が経つ。

 そして地中海から1000を超える大怪異達が出現した。



「あのね?こんなんで私に勝てると思われてるわけ?」


「一人だったら厳しいかもね〜。でもさ?そこにいる足でまといを守りながらなら?どう?」


「朔月……私を置いて……」


「逃げないけど?あんた自分の価値分かってる?認定序列3位『千斬』。単独で伯爵級怪異を撃破できる人材を……みすみす殺させたりしない。」



 そっか……朔月は優しいのね。

 そりゃそうよ……いくら強いとはいえ、普通3歳から退怪術士なんてやらないわよね。


 人類全ての存続を背負って……期待を背負って……そして力まで伴ってしまった少女……


 甘さや優しさは退怪術士が、最も初めに捨てるもの。

 でも彼女は強すぎるが故に……捨てる必要もなかった。



「そういうと思った〜。なら足手まといと一緒に死んじゃえ!!『地獄浄土』」


「異能発現『物質創造』」



『人類最強』VS『君主級怪異』の戦いが始まった。







 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 第7話をここまで読んでくださりありがとうございます!


 直球な性格が仇となり、窮地に追い込まれた『千斬』

 そして始まる人類最強の戦いとは?


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!


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