第2話 人類最強の日常







「くぅ〜。よく寝れ……るわけ無いか。」



 昨日の大怪異(笑)との戦闘で、私は絶賛寝不足だ。

 もっとも、ロンドンにいた時間はほんの十数分......


 片道3時間、計6時間の「移動時間」が私の睡眠を阻害しているのだ。



「どうも乗り物の中では寝れないなー。ハァ......」



 そんなことを言いつつ、私は学校に行く準備を始めた。



「今日も学校!青春を満喫するぞ〜!」






 ――登校中((((o≧▽≦)o――


「月乃ちゃんおはよー!!」


「サクラ?おはよう。今日は遅刻しないの?」


「月乃ちゃん酷いよ!私だって毎日遅刻してるわけじゃないからね!」


「……今日の一限の単位……落としそうって事か……」


「ウグッ。」



 サクラちゃんは私の数少ない友人の一人だ。

 正直に言うと、私はどっちでもイケるタイプなので……


 異能によって、桜色の長髪をたなびかせる彼女は、普通に襲いたくなるくらい可愛い。



「今日も1日頑張ろうね!」


「あ〜。癒しぃぃ。」


「え?」


「何でもなーい!」



 しかしそんな日常は突如、警報によって切り裂かれた。


【緊急速報発令、近辺に4級怪異侵入を確認。この警報が聞こえた方々は直ちに建物内に避難してください。繰り返します、直ちに避難してください。】



「嘘!?要塞都市のこんな中心にどうやって4級が......」


「さぁ?低レベルなら極稀に、突然発生するらしいし......それじゃない??」



『怪異』には階級がある。


 大怪異王(怪異の神)――『『別格』』過去一体のみ確認。現在消息不明。伝説であるため皇帝級より強いかは不明。

 皇帝級――『全生命』絶滅の可能性。朔月以外対応不可能。.....過去2体確認。

 君主級――『人類』壊滅の危機。全て朔月により撃退......過去10体確認。

 公爵級――『要塞都市』壊滅の危機......過去66体確認。

 伯爵級――『要塞都市』半壊の危機......過去188体確認。

 子爵級――都市結界、インフラに重大な損害。

 男爵級――都市結界を突破する可能性あり。

 1級怪異――上位の退怪術士単騎で問題なし。

 2級怪異――中堅の退怪術士単騎で多分楽勝。

 3級怪異――駆け出しが頑張れば.....いけなくもない?

 4級怪異――退怪術士志望の学生でもいける。小型ミサイルで余裕。

 一応.5級怪異――雑魚。ロケットランチャーでさよ~なら。



 1999年に出現した『怪異』によって世界は一変した……らしい。

 2053年の今では、三角海域以外でも怪異が発生する事もある。


 とはいえ4級だとしてもここにいるのは不信だ......


 文字通り平和など、どこにもない世の中になってしまったのだ。

 かつて人類の人口が80億人を突破していたらしいが……今では19億人程度しかいない。17歳の私にはにわかに信じ難い話だ。



「月乃ちゃん!逃げないと……私に着いてきて!」


「うん……」



 実は私は普段正体を隠している。

 私を付け狙っている存在が『怪異』『人間』問わず山のようにいるからだ。


 私は平気だとしても、私のせいしゅ.......

 私の友達や周りの人々に危害を及ぼすわけにはいかない。


 そしてサクラに手を引かれて逃げていると、後ろから甲高い不気味な叫びが聞こえてきた。

 間違いなく警報にあった4級怪異のものだろう。



「月乃ちゃん!!下がってて!」


「サクラ!大丈夫?」


「大丈夫、月乃ちゃんだけは絶対に守る。」


「無理しないでよ?」



 カッコイイ……嫁に行こうかな??もし何かあれば私が助ければいいし……

 それにしても......『要塞都市』の奥までどうしてバレずに侵入しかのだろうか?



「異能発現!!武装・舞桜!!」



 異能を持つものは、体のどこかに紋章が刻まれている。

 紋章の形状は十人十色で、似たものはあっても同じものは一つとして存在しない。


 異能と言っても色々ある。


 ――数千度の熱を生み出すような戦闘向きの異能。

 ――空間そのものを切断できる異能。

 ――ほつれたボタンを糸なしで治すだけの異能。


 などなど人の数だけ幅広く能力がある。



「舞桜・鋼吹雪!!」



 舞い散る鋼の桜吹雪が、激流となって4級怪異を引き裂いていく。

 サクラの異能は『舞う桜』に関係することがらを、現実に具現化して戦う異能なのだ。



「おぉぉ......」


「まだまだだよ!舞桜・桃色辻風」


「え?桃色?桜色じゃなくて??」


「......桜被ったらくどいじゃん!もぉ呑気なんだからぁ......」


「はい、隠れてます......」



『異能』は実は奥が深い。

 本人の性格やイメージ力で、能力の形が大きく変わる。


 一見して戦闘に使えない『異能』でも突き詰めて極めれば、新たなる力を発現することもにある。



 しかし……異能には色で明確に序列分けがある。


 ・深紅ーー『朔月のムーノ』のみ保有。「頂点の紋章」

 ・純白ーー世界で3名のみ確認。 

 ・黄金ーー世界で100人程度確認。

 ・白銀ーー世界で600人程度確認。

 ・漆黒ーー世界で2500人程度。         

 ーーーーーーーーーーーーーーー↑最上位紋章

 ・赤ーー1万人くらい

 ・青ーー5万人くらい。

 ・橙色ーーかなりいる

 ・緑ーー凄く沢山。

 ・紫ーー超いる。

 ・黄色ーーめちゃくちゃいる

 ・灰色ーー逆にレア。紋章なしと大差なし!!


 もし最上位紋章を発現すれば、人類の救世主として怪異と戦う人生が確定する。

 最上位紋章を持っている人物は、現在世界で何と「3000人弱」


 そして深紅の紋章は、世界を改変するほどの力を秘めており、私しか持っていない。

 一見して中間に位置していそうな赤だが、赤を持っているだけでも異能保有者の上位1%に入ってしまうほどだ。


 するとサクラが呟く。



「やったかな?」


「……そのセリフやめた方がいいと思う。メタすぎる......」



 グギァァァァァァ!!

 案の定ダメージは絶大だが、未だ息絶えてはいない。

 そして4級怪異は私目掛けて突進してきた。



「月乃ちゃん!!!」


「あ......キァッ!」



 さて……どうしたものか……ここで何かしらの力を使ってしまえば、

 私の『『『美しく素晴らしい完璧な桜色の青春』』』に傷がつくかもしれない。


 しかし黙って攻撃を食らう訳にもいかない……偽装はできるかもしれないが……

 私は強すぎるのだ。この程度の攻撃じゃ、かすり傷一つ付かない……



「月乃ちゃん!!!危ない!!!」


「ぅっ……」



 遅い……どうしよう……欠伸が出そう。

 ただ結論は出た。そうそれは題して……


『『何かパニックで転んだら奇跡的に避けられました作戦!!』』


 私はコケた弾みで、でんぐり返しをして怪異の股をくぐり抜けた。

 そして後は……うん、サクラに任せる。



「よくも私の月乃ちゃんを!死桜・刃舞!!」


「サクラ……ありがとう……」



 あれ?今「私の」って言わなかった?ん!?

 これ私が……襲われる側!?!?



「月乃ちゃぁぁん!良かったぁぁ!!」


「た、助けてくれてありがとう……」


「月乃ちゃん、『異能』使っていいんだからねぇぇ!心配だよぉぉ。ぅぇぇぇん。」


「とっさに体……動かなくなっちゃって……」



 やっぱりサクラの脳内はお花畑だ......いや桜並木かな??

 私は咄嗟癖でとんでもない『高度なでんぐり返し』をしたのに全く気づいていない。



「私.....絶対に月乃ちゃんが安全に暮らせる世の中にしてみせる。月乃ちゃんがいる所に.....怪異なんて行かせないよ!!」


「一応.....私も退怪術士志望なんだけど.....」


「大丈夫。多分......月乃ちゃんの成績だと『要塞都市外』の任務にはつけないから!」


「サクラ!?意外とエグイ事言ってない!?」


「.....てへ?」


「誤魔化しかた雑過ぎない!?」



 サクラはいい子だ……とてもいい子。

 私は彼女を心から友達だと思っている。


 だからこそ……人のために、自己の犠牲を顧みないこの子がとても心配だ……

 怪異術士は甘さを捨てきれなかった者から、脱落していくのだから。   ※私以外


 そうしてその後、プロの退怪術士が到着し、事態は無事に収束した。

 だが私はまだ知らなかった……まさか今日の学校の講義であんな……



 ......あんな羞恥プレイを受けるなんて……




主人公「希守月乃」のイメージイラスト 【学校生活:制服ver】 公開!!

https://kakuyomu.jp/my/news/16818093081839777162


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 今回は第2話をここまで読んでくださりありがとうございます!


 意外と普通の青春を送っている世界最強でした。

 学校に通っている理由は本人が通いたいからです。

 そして彼女は世界になくてはならない存在。

 FCTは人類最強の機嫌を損ねない選択をしたようです。


 でも彼女は辞めろと命令されれば。従うとは思いますが......


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!


 何かあればお気軽にコメントを!


 こちらは不定期更新です!......が最低でも3日に一回は更新したいです。(願望)

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