@ShinonomeNoma
隰弱?螟「
目が覚めると、知らない村にいた。日本風な家と煉瓦で建てられた家があちらこちらに見える。ああ、これは夢か?なぜ夢だと分かったかというと、体が軽くて、ふわふわしていたからだ。私は明晰夢の時、必ず体が軽くなる。(それ以外の時は知らないが。)だから、これは夢だと判断したのだ。あたりは濃い霧で覆われていて、数メートル先が全く見えないくらいだった。とりあえず、歩こう。そう思い、村の中心へ向かった。
村の中心には大きな噴水があり、少し緑色と灰色が混じった色をしていた。匂いはわからなかったが、おそらく臭いだろう。そんなことを考えていると、ふとコツンと何かに足が当たった。なんだ、と思いその「何か」のほうを向いた。
---------っ‼私は驚愕し、声が出なかった。そこには人間のようなモノが転がっていたのだ。あまりにも無残な光景に私は吐きそうになった。体がねじれて、口からは血のようなものが滴っている。肌はこの世のものとは思えないくらい青白く、怪物を見ているような気分になった。
その時、今まで濃かった霧がすうっと晴れた。刹那、私の眼には地獄絵図のような光景が広がった。あたり一面に転がっている丸太。その近くで体がねじれている人、人。私は怖くなって、夢から逃げ出そうとした。が、どういうわけか、目が開かない。逃げたいのに、何かが私の邪魔をして逃げれない。しばらくの間、私は目を開けることを試みたが、結局開けられず、あきらめた。
すると、遠くからチリーン、チリーンと鈴の音がした。その鈴の音はだんだん私に近づいてくるようだった。私は動かない右足を何とか出し、走って逃げた。
そうして、気が付くと、あたりの家がなくなり、細い小道のような場所にいた。道のわきには地蔵がいた。そして、相変わらずあたりに散らばる丸太。なんで丸太がここにあるんだろうと思っていたその時、
「ねぇ、お姉ちゃん。お姉ちゃんは村から来たの?」と声がした。びっくりして前を向くと、そこには、座敷童のような少女が2人提灯と鈴をもって立っていた。その何とも言えない妖気な雰囲気に私は一瞬魅了された。黒くて、ひざ上くらいの丈の浴衣に、黒髪のおさげで、髪には赤い華(おそらく彼岸花)が付いていた。顔はすごく整っていて、びっくりするくらい白い肌に、赤くて大きな瞳、少しうるんだ、艶やかな赤い唇。そして、一番びっくりしたのが、二人の少女はまるでコピーのように瓜二つだった。私がぽーっと彼女らに見とれていると、提灯を持っていた少女が口を開いた。「お姉ちゃんは、まだ転んでいないのね。」え?「この世界で転んじゃったら死ぬんだよ。夢の中でも、現実でも。」一瞬意味が分からなかった。だが、すぐに、今まで見てきたあの死体たちの意味が分かった。あの人たちは道に転がっている丸太に足を引っかけ転び、死んでいたのだ。だが、夢で死んでも現実で死ぬというのはおそらく嘘だろう。この少女たちはサイコパスで、人間を殺すためにわざわざ道に沢山の丸太を置いたのではないか。そんなことを考えていると、もう一方の少女が、「私たちもここに来たのは初めてよ。じゃあ、なんで転んだ後の末路を知ってるかって?それは私たちもわからないの。ただ、頭に誰かが話しかけてきて、それで転んだらあんなふうになっちゃうっていうのを知ったの。」つまり、彼女らも私と同じ、夢を見ている最中なのか。「そろそろ朝が来るよ。私たちについてきて。」え、ちょっと待って。
少女たちはふいっと後ろを向き、どこかに走っていった。早く彼女たちを追いかけなくては。そう思って走り出そうとした瞬間、丸太に、足が引っ掛かった。あ、これやばいかもと思ったが、間一髪よろっとなるだけだった。気を取り直して、彼女たちを追いかけようとした。すると、後ろから「あーあ。」「転ぶと思ったのに。残念。」少女たちの声だった。彼女たちは私をはめていたのか。と思っていると、意識が遠くなった。ああ、もうすぐ夢から覚めるのか。
「ななしーー。遅刻するよー。」
はっ。私は夢から無事に覚めることができたのか。安心した。布団のシーツと、私のパジャマは汗でぐっしょり濡れていた。後で母に聞いた話によると、夜中に急に私が苦しそうにうなり始めたらしい。
しかし、夢から覚めることができて本当に良かった。もし、あのまま転んでいたら本当に現実世界でも死んでいたのか。私はこの夢を1年前に見たのに、なぜか細部まで今でもはっきりと覚えている。
------私が見た夢は、俗にいう「共通夢」というものだったというのはもう少し後になってから知った。
End.
@ShinonomeNoma
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