送迎とお姉ちゃん
「ありゃー誰もいないね。早く来すぎちゃったか」
集合時間より早く到着してしまった。
そんな私達の目の前には警備員さんが暇そうに立っていた。
あーお疲れ様です
「まあ、遅刻するよかいいっしょ!」
「うん、ありがとうお姉ちゃん。送ってくれて」
普段と登校時間が違うので適当なバスがなかったものだから、姉に会場まで送って貰っていた。
なお、他の子達は学校で集合してマイクロバスで来る予定だ。
因みになんでこんなに早かったと言うと。
お姉ちゃん曰く、
「休日だから父兄も沢山来る筈よ!車停める場所もないから!」
・・・との事らしい。
ところが、少子化の影響なのか、はたまた吹奏楽の人気が落ちたのか、1時間以上早く着いても駐車場はがら空きだった。
「何か・・・うん。待つか」
「お姉ちゃん送ってくれてありがとう」
そうして諦めて車外に出た途端、私達はお日様の攻撃を受けダメージ大を受けてしまった。
「暑っつい!」
「うわぁーなんだこの暑さは!」
最初は台風の直撃で延期かと心配されてたけど、結果は風雨が多少強まっただけで済んだ。
今日で九州大会の出場校が決まる。
長い夏になるか、今日で終わるか。
「いやー先輩達からしたら勝って勢いに乗って来年の受験にも勝ってほしい」
中学に入って右も左もわかんなかったけど、部活を通じて知り合った先輩達がいてくれてよかった。
そんなことを話してたら、隣にほかの学校の父兄の車が止まる。
重そうに楽器を担いで他所の学校の出てきた。
「いやー私フルートでよかった」
なんなら片手で持てるし
だから会場では他の子のお手伝いもすなくちゃ。1人で運べない子もいるし。
「晴れたね」
運命の日だと言うのに、何だか心が落ち着いてる。
「何?」
「んーと」
「何時にむかえにきてくれるのかなーって考えてた」
「閉会式にくらいには着くからさ
よろしくお願いします」
「何言ってるの」
私がそう言ったら、恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「可愛い後輩でもある訳だし」
「まあ、お姉ちゃんのスパルタのお陰でここまで来れたんだよ。本当に感謝してる」
「あーそのなんだ。私も行きたかったからさ、全国に」
「私頑張るから!」
「はいはい、お母さんにはお祝いのご馳走作ってもらうからね」
「それはまだ早いと思うよ?」
前祝いってことで?
そんなことを言ってお姉ちゃんは私を置いて会場玄関へと去っていく。
私はみんなが来る予定の関係者駐車場へと向かうのだった。
ご馳走って何かなぁ。いやー楽しみだよ。
はい、まだまだお子様な私だったよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。