この世界での心残りはありませんか?

ネオミャウ太

第1話

「ベレットさんの場合ここに居られるのは残り一週間ってくらいですかね」


私は今回の依頼人のベレットに真実を告げる。ベレットは少し目を伏せながらため息を吐き


「そうですか。案外一年って短いものですね」


悲しそうな表情を浮かべる。


「そうですね。まあ一年は長い様で短いんですよ、私も昔は一年が長いって思っていましたが社会人になってから短く感じてきました。ああ、すみません余計な話でしたね、それであなたの心残りって言うのは何でしょうか?」


私は脱線した話を本題に戻す。


「心残りですか」


ベレットは少し悩んだ表情を見せた後、口を開く。


「私を受け入れてくれた。正志さん、いえ、佐藤さんの家に恩返しがしたいと思いまして」


「そうですか。恩返しするのは良いことですね、でも何で恩返しでここに依頼してきたんですか?」


私の質問にベレットは少し怪訝そうな顔をする。


「ああ、すみません。今度は言葉足らずで。いや、ここに依頼せずとも恩返しなら自分で出来るかなって思って」


そう返すとベレットは納得した様に頷く。


「それはそうかもしれませんが、私って異世界の人間ですからこの世界の恩返しの作法が分からなくて、不安で頼みました」


「そうですね、不安ですよね。すみません、そこまで考えが及ばず発言してしまいました」


「いえ、大丈夫です」


ベレットが笑顔で答えてくれた。


私は気に障って無かったと一呼吸をして顔を仕事モードにする。


「それでは本題に移りましょうか。それでは今の段階でのあなたの恩返しプランを聞きたいのですが」


そう言って、今後についての相談をする事にした。






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