第4話 Mittagessen(お昼ご飯)

 ◇AM7:45


「言うわけないでしょ?あなたの家にホームステイしてるなんて」


「いや...一応な」


「何?私と何かあると思われるとか気にしてるの?リンゴとナシ...確か日本では月とスッポンだっけ?それくらいの差があると思うのだけれど?」と、鼻で笑う。


「...あーそうですか...。いや...別にいいですけど」と言い、俺はいつもより早めに家を出る。


 一緒に家を出ているところを見られたら色々まずいし...。

まぁ、あいつ自身が積極的にクラスメイトと関わりあわない以上、ほかの人にばれるなんて言うことも限りなく0に近いと思うけど...。



 ◇AM8:25


 遅刻ギリギリの時間に到着するエミーリエ。


 普通に出ればもう少し早く着いていたはずだけど...。


「そんでさ!その子の胸がちょーでかかったんだよ!」と、熱心に昨日見かけた巨乳JKについて熱く語るわが友達【相馬そうま 義信よしのぶ】。


「...それは良かったな」


「あれは...宮野女子の制服だったと思うんだよ。いいよなー、女子校。学祭とか一般公開してねーかな?空気を吸いたい。女子であふれた空気を...」


「...気持ち悪いな」


「うっせ!てか、お前は好きな子とかいねーのかよ」


「いねーな。恋愛に興味がないし」


「はーん。それもそうか」と、ちらっとエミーリエのほうを見る。


「こんなにかわいい子のお世話してたらそりゃほかの女子なんか比べ物にならないもんなw」


「...別に。俺はただの翻訳係。翻訳機といってもいいな。ちなみに、日本語の聞き取りはそこそこできるから、さっきの巨乳JKの話は全部聞かれたと思うぞ!」


「先に言えよ!」


「言う隙間なかったろ」


「じゃあ、お前が代わりに弁明してくれ!巨乳というのは...巨峰の親戚で...って!」


「そうしたらお前は昨日巨峰JKを見て興奮したという、今の情報よりまずいことになるかもしれないがいいのか?」


「オールライト!!」


「カタカナ英語すぎるだろ」


 そうして、チャイムが鳴ると俺のことをじっと見つめるエミーリエ。


「...なんだよ」


「別に?普通に気持ち悪いなって思って」


「...俺の友達に対するドストレート悪口やめろよ」


「あなたがよ。どうせ巨乳好きな癖に。強がっちゃって。昨日からあなたの目がちょこちょこ私の胸に行ってるのくらいわかってるからね?あーキモキモ」


 どうやらばれていたようだ。

思春期の男子高校生にとってあの巨乳は目に毒なのだ。


「...」


 そのままチャイムが鳴ると、先生が入って来るのだった。



 ◇昼休み


 相変わらず一人で弁当を食べ始めるエミーリエ。

仕方なく俺は机をくっつけるとすごく嫌な顔をこちらに向けてくる。


「...何?私は別に一人でもいいんだけど」


「一人でもいいなら二人でもいいだろ?」


「同情?」


「そんなんじゃねーっての。てか、体育とかは女子同士のかかわり必須なわけだし、日本語を学ぶ上で友達という存在は必要不可欠だと思うが」


「...一人でもできるし。勉強くらい」


「二人でもできるだろ?」


「...まぁ...勝手にすればいいわ」


「てことで、義信、許可もらったぞ」


「おー!ありがとう!改めてよろしくね!エミーリエさん!」と、楽しそうな笑みを浮かべて手を差し伸べる義信。


「...」と、仕方なさそうに手を握ると、俺を翻訳機として使いながらいろんな質問をする義信。


 すると、その様子を見ていた【若狭わかさ れい】が話に割り込んでくる。


「私も混ぜて!」


 露骨に嫌な顔をするエミーリエだったが、「全然にいいよ?」と勝手に俺が返事をすると思いっきり足を踏まれるのだった。


 そうして、仲良く?4人でご飯を食べるのだった。



 ◇放課後


 校門前でエミーリエを待っていると、「なんで待ってるのよ」と睨みつけてくる。


「...強がってるけど今日迷子になったろ?」


「...そんなわけないでしょ。何を根拠に「だったらなんであんなにギリギリに学校に来たんだ?」


「...あんたが先に帰りなさい、私はその後ろをついていくから」


「はいはい」


 どうやら今日のことはだいぶご立腹のようで俺とは話したくないようだ。


 そうして、数歩後ろを歩くエミーリエを引き連れて家に帰るのだった。

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