彼女と僕の夏休み

宮月零

7月22日(金)

終業式が終わり帰ろうとすると隣の席の斎藤 栞奈さいとう かんなに呼び出された俺は何事かと思い斎藤さんの後をついていき人気の無いところで


『好きです付き合ってください』


突然の告白にビックリした。


人生で初めて告白された俺は斎藤さんの方をみると顔を赤らめて涙目になりながら返事を待っていた。


とても嬉しかった俺も斎藤さんの事が好きで告白しようとしたが断られるのが怖くて出来ずにいた、きっと斎藤さんも怖かったのだろう、でも俺とは違い勇気を振り絞って告白してくれた。そんな彼女に俺は


「よろしくお願いします」


と返事をした。


高校1年の夏休み0日目にして初めて彼女ができた。


暫く無言が続いた後に


「とりあえず涼しい所に行こうか」


と言うと彼女は頷いたので学校近くの喫茶店に入った。


席に座って斎藤さんにこれからどうしようかと尋ねたら笑顔で鞄の中からノートを取り出し渡してきたので俺はノートを開いたら『夏休みにしたいことリスト』と書かれていた。


「海、プール、夏祭りに花火大会そのほかにもいっぱい…これ全部やるの?」


「やる」


斎藤さんは元気よく答えた。


全部に目を通して最後のページを開こうとした瞬間ノートを取られ


「最後のページはだよ」


俺は気になったので教えてほしいと頼むもそれは言えないと断られてしまった。


知りたいが断られては仕方ないなと思い俺はコーヒーを一口飲んだ


暫く喋りながらやりたいことをする日付を大まかに決めていた。


一通り予定を決め終えた頃には外が暗くなっていたので斎藤さんを駅まで送った。


別れ際に「明日からの夏休み楽しみだね」と

笑顔で言う斎藤さんに俺もそうだねと答え駅のホームに走っていく彼女を見送った。


斎藤さんが乗っている電車が発車したと同時に俺の携帯に1件のメールが送られてきた。


「今日は本当にありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。

私の事は栞奈って呼んでください。」


このメールで俺は今日本当に彼女ができたのだと改めて実感しながらメールを返した。



「こちらこそ今日はありがとう。

栞奈が告白してくれて嬉しかった」


メールを送信し携帯をポケットにしまい家に向かって歩き出した。

学校が始まったら告白されて付き合う事になりましたなんて言えないなと思いながら明日からの夏休みを楽しみにしながら帰る道程はいつもより短く感じた

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